パパ半育休からの時短なう

育児休業を取りながら働く半育休の話を中心に、育休の制度や子育てについてつらつらと。

不妊治療のオプションとしての特別養子縁組と、血のつながりにかかわらず大切なこと。『産まなくても、育てられます』

こんにちは。育休的な休みに入ったものの、まだ生まれる気配なく、毎日ブログばかり書いている橋本です。苦笑です。

 

僕の働いているフローレンスというNPOでは、赤ちゃん縁組という事業を行っています。望まない妊娠などで、子どもを生んでも育てられないという女性と、子どもが欲しいけれど授からない夫婦をつなげ、特別養子縁組*1という制度で赤ちゃんを縁組するという取り組みです。

そんな赤ちゃん縁組を担当するメンバーが「とても良い」と言っていた本を読んでみました。『産まなくても、育てられます』という本です。

 

産まなくても、育てられます 不妊治療を超えて、特別養子縁組へ (健康ライブラリー)

産まなくても、育てられます 不妊治療を超えて、特別養子縁組へ (健康ライブラリー)

 

 血のつながらない子どもを特別養子縁組で迎え、わが子として育てている夫婦のほとんどが不妊治療の経験者です。つまり、「子どもがほしい」と考えたとき、不妊治療以外にも方法はあるのです。ただ、「養子を迎えたいと思うけれど、不安なことがある……」という人も多いでしょう。本書では、子どもを迎えた夫婦の体験談から特別養子縁組に必要な知識と手続きまで、「親」になるために知っておきたいことのすべてをまとめました。(Amazonの書籍紹介より)

目次は以下のとおり。

序章 つながる不妊治療と特別養子縁組
第1部 養子を迎えるということ ~「気持ちの壁」の乗り越え方
 第1章 私たちが特別養子縁組を決断するまで
 第2章 「親子」への道のり
第2部 特別養子縁組の基礎知識 ~「法的な壁」の乗り越え方
 第3章 特別養子縁組のしくみ
 第4章 特別養子縁組の申し立てから成立まで 

特別養子縁組で子どもを迎えた8組の夫婦のエピソード(多くが不妊治療の経験者)から始まり、「真実告知」「試し行動」など、血のつながっていない子どもと「親子」の関係を作っていくための鍵となるイベントについて説明、最後に特別養子縁組という法制度の概要と、実際に子どもを迎えるプロセスを細かく紹介する……という内容です。

特別養子縁組に関連するこれまでの書籍だと、制度のあらましや背景にある社会問題など「制度より」のものと、養子を迎えた家族、あるいは望まぬ妊娠をした女性の物語を深掘りしていく「エピソードより」に分かれる感じだったのですが、『産まなくても、育てられます』(以下「本書」)は両内容がバランス良く、またエピソードから制度の詳細へという流れのおかげで、より「入りやすい」本になっています。

「出口の見えないトンネルの中にいるようだった」

前述の通り、本書のエピソードに登場する夫婦の多くは、長い不妊治療と、それでもなかなか子どもが授からないという苦しみを経験してきた方々です。その辛さは「出口の見えないトンネル」と表現されています。

子どもができない、できても流産を繰り返してしまうという体験をした女性たちは、しばしば、「あの頃は出口の見えないトンネルの中にいるようだった」という表現をします。

僕の友人にも、不妊治療を経て子どもを授かった夫婦が何組かいます。本書を読んで気になったので、実際に不妊治療で子どもを授かることができるのはどれくらいの割合なのか、調べてみました。

厚生労働省のサイトにあったグラフで、2006-2008年に不妊治療を開始したケースで出産に至った割合を年齢層別にまとめたものが以下です。

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出典:「不妊に悩む方への特定治療支援事業等のあり方に関する検討会」報告書(厚生労働省、2013年)

  • 34歳以下だと、治療を9回行えば70%程度のケースで出産に至る
  • 35-39歳だと、治療を10回行えば45%程度のケースで出産に至る
  • 40歳以上だと、治療を10回行えば10%程度のケースで出産に至る

というデータになっています。*2単純にこれが「不妊治療の成功率」と言えるわけではありませんが、比較的近いデータかと思います。年齢や、当然個人差にもよりますが、不妊治療を重ねてもなかなか子どもが授からない人も一定数いるというのは確かでしょう。

不妊治療のオプションとしての特別養子縁組

そういった不妊治療で悩む夫婦に対して、本書では、プラスアルファの選択肢としての特別養子縁組の検討をすすめています。45歳で実際に養子を迎えた夫婦(ミサコさんとトオルさん)のエピソードに添えて、このように述べられています。

ミサコさんが強く言っていたのは、「結果的に自分で産むにせよ、養子を迎えるにせよ、子どもを持つための複数の選択肢を考えておくことが大事」だということです。

自分で産むことにこだわらなければ、子どもを持てる可能性は広がります。子どもがほしいけれど、なかなか授からない、という状況になった時点で、不妊治療以外の選択肢も頭に入れておくのがベスト。そうすれば、不妊治療に行き詰ったときに、すぐに別の選択肢に切り替えることだってできると、ミサコさんは反省も込めて、後輩たちに伝えているそうです。

もともと特別養子縁組という制度は、子どもの福祉のための制度。実の親に育ててもらうことのできない子どもを家庭環境で養育することで、子どもの福祉を守るというのが本来の趣旨です。ですが、晩婚化・晩産化が進む今の日本では、不妊に悩む夫婦を助けるための仕組みとしても、今後より重要になっていくでしょう。 

法改正で特別養子縁組の支援が強化される

特別養子縁組を希望する夫婦の窓口となるのは、行政(児童相談所)や、フローレンスのような縁組を事業として行う団体です。このうち、児童相談所については、これまでは子どもの虐待対応などに追われ、特別養子縁組に取り組むことができないところも少なくありませんでした。

厚生労働省の調査では、2014年度に全国の児童相談所特別養子縁組を前提に里親委託をした件数は282。平均すると、一つの児童相談所につき1.5件ということになります。もっとも多く養子縁組につなげていたのは大阪市の12件で、全体の4割強にあたる86の児童相談所では0件でした。

しかし、これが今後は改善される可能性があります。具体的には2016年の児童福祉法改正により、児童相談所の業務として、養子縁組に関する相談・支援が明確に位置づけられるようになりました。*3特別養子縁組を前提とした里親委託(養子縁組里親)も制度として整備され、行政の支援が強化される見込みです。

(2)特別養子縁組も育休の対象に

また、育児・介護休業法でもアップデートがありました(育休の話!)。特別養子縁組では、法律上の親子になるまでに、半年間の試験養育期間(正式には「監護期間」)があるのですが、その間は赤ちゃんは夫婦の同居人扱いなので、育児休業の対象ではありませんでした。

それが、ちょうど2017年1月から、特別養子縁組の監護期間や養子縁組里親でも、育児休業が取得できるようになったのです。*4血のつながりだけでない、多様な家族のかたちを支援するという国の姿勢のあらわれですね。

(3)民間団体の養子縁組あっせんに補助が出るように

また、行政ではなく、フローレンスのような民間の団体を介しての縁組についても、法律のサポートがつくようになります。民間団体での縁組は、国からの補助などがないため、縁組にかかる実費(ケースワーカーの人件費や、場合によっては生みの親の医療費など)を、赤ちゃんを迎える夫婦に負担してもらうことがほとんど。費用は、ケースによりますが、数十万から200万くらいまでかかることもあります。団体の事業運営(資金繰り)的にも大変でした。

これが新しい法律によって変わります。2016年に成立した特別養子縁組あっせん法案により、行政からの補助や研修の支援が行われることになりました。*5細かい補助の内容は定まっていないのではっきりとは言えませんが、これによって、団体の事業運営がやりやすくなりますし、子どもを迎える夫婦の負担も減る可能性が高いと思います。

特別養子縁組そのものが、より広まっていけば、今後もこのように法制度などでの支援の幅も広くなっていくでしょう。

血のつながりにかかわらず、大切なこと

我が家は、不妊に悩んだことはありませんが、第一子の誕生前、妊娠3ヶ月ごろに、奥さんの流産を経験しました。妊娠初期のことではありましたが、辛い経験でした。

僕はすでに子どもを生んで育てている夫婦にも、本書をぜひ読んでみてほしいと思っています。養子として迎えた子どもに出生の経緯を伝える「真実告知」についての説明で、本書ではこのように述べています。一番心に残っている部分です。(太字は筆者)

育て親が最初に子どもに伝えるべきことは、出生のディテールではなく、「あなたを産んではいない」けれど、「どれだけあなたを待ち望んでいたか」「わが家に来てくれて、どれだけうれしかったか」ということなのです。

これって、「養子だから」ではなく、すべての親子に言えることではないえしょうか。

お腹を痛めて産んだ子どもでも、養子として迎えた子どもでも、子どもを授かった嬉しさは同じ。「家族として、一緒に幸せに生きていきたい」という気持ちも同じです。

血がつながっているからこそ、愛情は「伝わるもの」として意識しないことも多いのではないかと思います。でも、愛情は「伝えていく」ことが大事ですよね。僕自身も、日々やんちゃをしている娘、これから生まれてくる息子に、「生まれてきてくれてありがとう、大好きだよ」と、ずっと言い続けていきたいと思います。

 

というわけで、子どもを産んで育てている方にも、オススメの本です。ぜひお読みください!

産まなくても、育てられます 不妊治療を超えて、特別養子縁組へ (健康ライブラリー)

産まなくても、育てられます 不妊治療を超えて、特別養子縁組へ (健康ライブラリー)

 

実際に特別養子縁組で子どもを迎えた夫婦のエピソードをより詳しく知りたいという方は、こちらの本もおすすめです。著者のうさぎママさんのカジュアルであたたかい語り口が読みやすいです。

産めないから、もらっちゃった!

産めないから、もらっちゃった!

 

 

*1:養子縁組の制度には、育ての親と養子を法律上の実子とする特別養子縁組(子どもの福祉のための制度)と、戸籍にも「養子」として記載しして実親との関係も残る普通養子縁組(家を残すなどの目的)の2つがあります。ここでは前者の特別養子縁組に言及しています

*2:「XX歳で不妊治療を始めた人」といった切り口の変え方によって「不妊治療の成功率」は変わります。以下のような記事もあります。

40代前半の不妊治療成功率は「5割」 | プレジデントオンライン | PRESIDENT Online

*3:参考:厚生労働省児童福祉法等の一部を改正する法律案の概要

*4:参考:育児・介護休業法について |厚生労働省

*5:参考:特別養子縁組あっせん法案成立!赤ちゃんの虐待死ゼロに向けて重要すぎる一歩 | 駒崎弘樹公式サイト

育休を取りながら働く「半育休」と時短勤務(短時間勤務)の違い

こんにちは。2歳9ヶ月の娘がやたらとズボンを脱ぎたがる橋本です。寒くないの?

 

先日、「半育休とは何か?」というエントリーを書きました。

ysck-hashimoto.hateblo.jp

公開後、何人かの方から、「時短勤務(短時間勤務制度)とどう違うの?」というコメントをいただきました。

制度としては「半育休=基本休み」と「時短勤務=基本働く」という感じで明確に違いますが、短い時間働くという点では似ているといえば似ています。今回はそのあたりを説明していこうと思います。

 

時短勤務と半育休のざっくり比較表

結論ファーストということで、まずは最初に時短勤務と半育休を簡単に比較してしまいましょう。表にするとこんな感じです。 

  時短勤務 半育休
働く時間 1日の勤務時間を6時間まで短くできる 育休を取りながら、月に80時間まで働ける
働き方

・基本は勤務

・原則として、フルタイム勤務の時間が短くなっただけ
・会社と取り決めした日にち・時間で働く

・基本は休み(育児休業
・80時間の上限の中でどのように働くかは人による
利用可能期間 ・子どもが3歳になるまで利用可能
・ただし会社ごとにより柔軟な制度にもできる
・基本は子どもが1歳になるまで利用可能
・父・母で交代で育休取得する場合は1歳2ヶ月まで
・待機児童になった場合等はプラスで延長もある
利用条件(※) ・同一事業主で1年以上働いている
・1日の所定労働時間が6時間以下でない
・1週間に3日以上勤務している
・同一事業主で1年以上働いている
・子供が1歳になっても(育休期間が終了しても)雇用される予定
・1週間に3日以上勤務している
・期間雇用の場合、子供が1歳半年になるまで契約期間がある
収入 ・法律では特に定めなし
・8時間勤務→6時間勤務の変更であれば、基本給を6/8にすることが多い

育児休業給付金(おおよそ月給の2/3)+働いた分の給与

・ただし給付金と給与を合わせた額が育休前月給の80%を超えないよう給付金が調整される

社会保険料 雇用保険:特に変わらず
・厚生年金:子が3歳になるまでは、フルタイム(8時間)相当の基本給で納めたものとされる(実質一部免除)
雇用保険:働いた場合は、保険料納付必要あり
・厚生年金:保険料は原則免除。ただし働き方によっては免除とならない場合がある

※利用条件について、詳細は厚労省のサイト等を参考にされるのがよいと思います。

 それでは時短勤務、半育休それぞれについて補足します。 

短時間勤務制度(時短勤務)

法律の定めなど

短時間勤務制度について、育児・介護休業法では、3歳までの子どもを育てる労働者について、1日6時間労働の短時間勤務制度を事業者に義務付けています。ただし、働き手の希望によって、会社と調整し、6時間でなく7時間などの長さにすることも可能です。

細かく言うと、1日の所定の労働時間(通常8時間)から2時間引いた時間までをサポートしており、その範囲内であれば6時間でも7時間でも大丈夫、という感じです。

給与額については、法律では「8時間勤務と同じにせよ」とは言っていません(まあ、そりゃそうですよね)。6時間勤務であれば、8時間勤務の場合の給与に6/8をかけたくらいの給与になることが多いでしょう。

ただし、社会保険料(厚生年金)については、時短勤務になる前の給与で計算されるという制度があるため、収入が減っても将来の年金額には影響がない、という仕組みになっています。

(1)次世代育成支援の拡充を目的とし、子どもが3歳までの間、勤務時間短縮等の措置を受けて働き、それに伴って標準報酬月額が低下した場合、子どもが生まれる前の標準報酬月額に基づく年金額を受け取ることができる仕組みが設けられたものです。
 被保険者の申出に基づき、より高い従前の標準報酬月額をその期間の標準報酬月額とみなして年金額を計算します。養育期間中の報酬の低下が将来の年金額に影響しないようにするための措置です。

出典:養育期間の従前標準報酬月額のみなし措置|日本年金機構

 

時短勤務について法律で義務付けられているのは、子どもが3歳になるまでの間だけですが、あくまでこれは「どの会社も最低限これはやらないとダメ」ということなので、企業が独自に、より柔軟な就業規則の規定にすることはできます。

実際に、僕の奥さんの会社だと、子どもが小学校4年生に上がるまで時短勤務でOKという就業規則になっているそうです。

子育てする側としては、3歳になったら即フルタイムでOKになるかというと、必ずしもそんなことはなく、例えば子どもが小学生になるときの、いわゆる「小1の壁」*1を突破するために、時短勤務は大きな助けになるでしょう。

時短勤務の働き方

時短勤務は、フルタイム勤務から働く時間が短くなっただけなので、週に何日働くといったことはフルタイムと変わりません。週5勤務で40時間働いていたのが、30時間になる、という具合です。会社を休むときは普通に休暇を取ることも同じです。

 

半育休(育休を取りながら働く)

法律の定めなど

半育休も、規定されている法律は育児・介護休業法です。通常の育児休業と別に制度があるわけではなく、もともと、育休中に短時間働いてもOK(育児休業給付金が給付される)という仕組みになっています。

育休を取れるのは原則子どもが1歳になるまで。ただし父と母で交互に取れば1歳2ヶ月まで育休期間にできます。*2

その他、子どもが保育園に入れず待機児童になってしまうなどいくつかの条件を満たした場合、さらに延長することもできます。

収入については、育休期間に給付される育児休業給付金(育休前月給の67%)に加え、働いた分の給与が会社から支払われます。ただし、給付金と給与を両方受け取るためには、働く時間は月80時間までと定められています。また、給付金と給与を合わせた月あたりの金額が、育休前の月給の80%を超えると、超えた分について給付金が減額され、トータルで育休前月給の80%になるように調整されます。

社会保険料については、育休中は免除されていますが、半育休になると、雇用保険は免除の対象から外れます。また、厚生年金の保険料も、働き方によっては免除の対象外になる場合があります(詳しくは後述)ので、半育休を検討している場合は人事担当と相談するのがよいでしょう。

半育休の働き方

半育休は、上にも述べたとおり、育児休業なので、会社を休んでいる状態が基本です。その上で、「月80時間まで」という制限の中で、時間を調整して働きます。

考えられる働き方はいろいろありますが、例えば以下のようなパターン。

  1. 能動的に仕事はしないが、トラブル対応やどうしても本人に聞かないとわからないことが出てきた場合にサポートする
  2. 属人的な要素を排除できない仕事(例えば、記事を書く、登壇する、取材を受ける、などでしょうか)を育休中も行う
  3. 人員体制的に業務を他のメンバーに引き継ぐのが難しい場合に、引き継げなかった仕事を無理のない範囲で行う
  4. 業務情報のキャッチアップや、育休からの復帰準備として、1日2時間、あるいは週1日午前だけ、など定期的に勤務する

時間の制約がありますし、事前に職場と業務内容をちゃんとすり合わせする必要もありますが、想像より柔軟に働くことができる制度です。(もっとも、育休中なので家事・育児は大変ですが)

ただし、特に4のようなパターンだと、時間は短くても定常的に勤務しているものとみなされて、社会保険料の免除の対象外になる場合があるそうです。法の定めというよりも、年金機構などが判断することらしく、具体的なガイドラインなどは見つけられなかったので、必要に応じて人事担当や社労士の方に確認するのがよいでしょう。

特に育休からの復帰を目指して超短時間勤務するというのは、働き手にとってもよいと思うのですが、社会保険料の免除がなくなる=収入が減ることを理由に断念するというケースもありえることを考えると、このあたりはもう少し労働者にやさしくしてほしいなと思います。

表でざっくり比較(再掲)

つらつらと説明したところで、改めて比較表を貼っておきます。

  時短勤務 半育休
働く時間 1日の勤務時間を6時間まで短くできる 育休を取りながら、月に80時間まで働ける
働き方

・基本は勤務

・原則として、フルタイム勤務の時間が短くなっただけ
・会社と取り決めした日にち・時間で働く

・基本は休み(育児休業
・80時間の上限の中でどのように働くかは人による
利用可能期間 ・子どもが3歳になるまで利用可能
・ただし会社ごとにより柔軟な制度にもできる
・基本は子どもが1歳になるまで利用可能
・父・母で交代で育休取得する場合は1歳2ヶ月まで
・待機児童になった場合等はプラスで延長もある
利用条件(※) ・同一事業主で1年以上働いている
・1日の所定労働時間が6時間以下でない
・1週間に3日以上勤務している
・同一事業主で1年以上働いている
・子供が1歳になっても(育休期間が終了しても)雇用される予定
・1週間に3日以上勤務している
・期間雇用の場合、子供が1歳半年になるまで契約期間がある
収入 ・法律では特に定めなし
・8時間勤務→6時間勤務の変更であれば、基本給を6/8にすることが多い

育児休業給付金(おおよそ月給の2/3)+働いた分の給与

・ただし給付金と給与を合わせた額が育休前月給の80%を超えないよう給付金が調整される

社会保険料 雇用保険:特に変わらず
・厚生年金:子が3歳になるまでは、フルタイム(8時間)相当の基本給で納めたものとされる(実質一部免除)
雇用保険:働いた場合は、保険料納付必要あり
・厚生年金:保険料は原則免除。ただし働き方によっては免除とならない場合がある

※利用条件について、詳細は厚労省のサイト等を参考にされるのがよいと思います。

ほかにも「こういう観点ではどう違うの?」といった疑問などあれば、コメントやTwitter等でご意見・ご質問いただければと思います。 

 

半育休と時短勤務を連続的なものと考えてみる

半育休と時短勤務はそもそも休みか、働くかという点で土台が異なり、それゆえ各制度の制約なども違います。

ですが、「がっつり働く」から「育児に専念する」までをグラデーション的に考えると、連続した働き方のあり方と捉えることもできます。例えば、

育休が落ち着いてきたら、1日2時間在宅勤務にする

→慣れたら1日4時間(20営業日ならぎりぎり80時間以内)に時間を伸ばし、出社する日も増やす

→時短勤務で本格復帰

のようなこともできるわけです。

こういった場合、先の例のように、定期的な勤務とみなされ、社会保険料は免除にならない可能性がありますが、それでも、育児休業給付金をもらいつつ、育児にも時間をしっかり割きつつ、復帰に向けて少しずつ働くことができるのは、だいぶ助かるのではないでしょうか。

業務内容や勤怠の取り決めなど、職場と調整しなければいけないことも多いですが、企業の側としても、少しずつ業務を回したり、育休からのスムーズな復帰につなげられるというのはきっとありがたいはず

「一億総活躍」や「働き方改革」が叫ばれる昨今。こんな働き方も、広まってもよいのではないでしょうか。

 

参考:育児・介護休業法について |厚生労働省

※本記事は2017/01/11時点の情報を元に執筆しています。制度等のアップデートがある場合もあるのでご注意ください

※公共系のウェブサイト等、信頼できる情報リソースを参考に執筆していますが、万が一誤り等あれば、Twitter等でメッセージいただけますと幸いです。

 

※このブログの書き手と、なぜこのブログをやっているのか?という想いについてはこちらをご覧ください!

ysck-hashimoto.hateblo.jp

 

Twitterもやってます!

twitter.com

*1:「小1の壁」についてはこちらをご参考ください:入学後にそびえ立つ「小1の壁」、ワーキングマザーはどう立ち向かう? - リクナビNEXTジャーナル

*2:「パパ・ママ育休プラス」という制度です。こちらのページがわかりやすいと思います:パパ・ママ育休プラスとは?(育児・介護休業法 H21年改正)

10年で男性育休は取りやすくなったのか?2004年の本『男性の育児休業』の問題提起と現状

こんにちは。まだ第二子、生まれていないのですが、早めに休みに入るので昨日ぬるりと最終出社日だった橋本です。

「男性の育休に関連した本とかあったら勉強になりそうだしブログのネタにもなるだろうな、いい本ないかな〜」と思っていたらそのものズバリな本がありました。

その名も『男性の育児休業』という本です。

男性の育児休業―社員のニーズ、会社のメリット (中公新書)

男性の育児休業―社員のニーズ、会社のメリット (中公新書)

 

ワークライフバランス関連の調査・研究をされている佐藤博樹さん、武石恵美子さんの本で、男性の育児休業取得状況やその背景、男性が育休を取れない・取らない理由、諸外国の男性の育児参画のための施策などが解説されています。これはなかなかよさそうだ!

……と思ったのですが、この本、刊行が2004年。10年以上前の本です。なんてこったい。

さすがにその内容をそのまま紹介しても、「で、今は?」みたいになってしまうので、今回は、本書の中で挙げられている「男性が育休を取れない・取らない理由」が、13年後の現在どうなっているのか(改善されているのか、それとも……)、見てみたいと思います。

ちょっと長くなってしまいましたが、どうかお付き合いください。

男性の育休取得率の推移

まず前提として、男性の育児休業取得率の推移はこんな感じです。内閣府男女共同参画局のサイトから。

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出典:I-3-8図 男性の育児休業取得率の推移 | 内閣府男女共同参画局

グラフは平成26年(2014年)度までですが、その後、平成27年度の取得率は2.65%と出ています。民間企業の取得率としては過去最高とのことですが、あまり変わらないですね。

今回取り上げている『男性の育児休業』が出版された平成16年(2004年)度は、0.55%というさらに低水準だったので、一応伸びはしていますが、全体としては相変わらず、「男性の育児休業取得率は低いまま」と言えるでしょう。

 

男性が育休を取らない理由

『男性の育児休業』(以下「本書」)では、男性の育休が増えない理由として、以下を挙げています。 

  • 制度の柔軟性が足りない
  • 所得保障が十分でない
  • 乳幼児あり夫婦共働きが少数派
  • 育休が就業規則に載っていない企業の存在
  • 古い男女役割の意識
  • 男性が育休を取りづらい職場の雰囲気
  • 長時間労働(特に子育て世代の男性)
  • 昇進への影響

それぞれの要素が、本書出版時の2004年と比べてどのようになっているか、見ていこうと思います。

制度の柔軟性が足りない

まずは育児休業の制度についてです。2004年時点での育児・介護休業法では、以下のような点が「制度の使いづらさ」として挙げられています。

  • 育児休業申し出は1人の親につき1回まで。分割取得できない
  • 専業主婦家庭では取得できない場合がある(労使協定でそのようにできる)

これが現在ではどのようになったかというと、こうなっています。

  • 育休の分割取得(産後8週間以内の育休+別のタイミングでもう1回)が可能になった
  • 専業主婦家庭でも男性の育休取得が法律でOKになった

分割取得について少し解説すると、男性の育休タイミングはいろいろありますが、産後の母体保護期間(産後8週間)と、妻の仕事復帰タイミング、子どもの保育園入園(慣らし保育)あたりが、妻側からのニーズが高いところ。(僕が会社で耳にした限り、ですが)

法改正によって、産後に8週間ほど育休を取り、期間をおいて、妻の仕事復帰タイミングでまた短期間休む、ということができるようになったということですね。これが平成21年の法改正、いわゆる「パパ・ママ育休プラス」の目玉のひとつです。 

 

制度については、良い方向にアップデートされたといえるのではないでしょうか。

ただし、分割取得については、「連続した日を休業する」ことが必要なので、本書でもうひとつ言及されていた、「日単位の育休」はまだ取れません。例えば、毎週水曜日は育休にして、家庭に専念する、という考え方もありだと思うのですが、これが育休の制度上はまだできません。このあたりは今後改善されるとよいなと思います。

所得保障が十分でない

育児休業中の所得保障として、雇用保険から育児休業給付金が給付されますが、2004年時点では、月給に対する給付金の割合は、40%でした。

この給付金比率がどうなったかというと、現在は、67%。半分以下から、3分の2まで上がりました。これは、制度的にはけっこう大きな改善ではないでしょうか。

また、前回の記事でも触れたように、半育休で一部業務を担当し、会社から給与ももらうことで、最大で月給の80%まで収入を得ることができます(※)。

夫のほうが収入が多く、育休中の家計が苦しいから……というのは男性が育休を取らない理由としてよく上がるものですが、上記内容を知れば、イメージが変わるのではないかと思います。

※働き方によって社会保険料の免除有無が変わる場合があります

乳幼児あり夫婦共働きが少数派

ここまでが、法制度に関連した課題でしたが、ここからは、風土やライフスタイルの観点です。

まずは、「意外と、乳幼児を育てる共働き家庭って少数派」ということ。どういうことかというと、

妊娠を機に妻は退職→育児に専念できる→夫の育休は不要と考える

というケースが多いのです。

具体的には、2002年の厚労省調査によると、出産前に働いていた女性のうち67%が出産後では無職の状態でした。

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出典:第1回21世紀出生児縦断調査の概要:母の就労状況

 

子どもが生まれる前は共働きでも、出産を機に女性が仕事を辞めるというケースが多く、「だったら育児に専念できるよね、夫が休む必要ないよね」という雰囲気になるというわけです。

この傾向が、その後どうなっているかというと、2010年の時点で、もともと働いていて出産を機に退職した女性の割合は54%。

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出典:第2回21世紀出生時縦断調査結果の概要 

 

多少、出産しても働き続ける人の割合は増えましたが、まだまだ「出産→退職」のケースは多いですね。

育休が就業規則に載っていない企業の存在

育児休業は法律上、会社の就業規則にその記載がなくても、取得することができます。労働者から育休の申し出が会った場合、 特別な事情がない限り雇用主はそれを拒むことはできません。

なのですが、男女ともに、就業規則に書かれていないと育休は取れない、と考える人も多く、それが育休取得の妨げになっている、と本書では言います。

正直「え、育休のことが就業規則に書かれてない会社なんてあるの?」と思ったのですが、こちらも、厚労省の調査によると、意外とあります。

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出典:平成27年度雇用均等基本調査:事業所結果

 

人数規模30人以上の事業所では約8%、5人以上だと約27%の事業所が、就業規則育児休業制度の規定がないという状況です。10年前に比べると、その割合は減っている(記載のある会社が増えてきている)のですが、それでもこの数字は意外でした。

いまだに、小さい会社だと、会社として「社員の育休」を考えるところまで至らない場合も多いということなのかもしれません。

古い男女役割の意識

次に、仕事や家庭についての男女役割の意識についてです。

内閣府の調査によると、「夫は外で働き、妻は家庭を守るべきである」という考えに対する意識の変化はこんな感じです。

 

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内閣府男女共同参画社会に関する世論調査より筆者作成

赤いほうが性役割分担に賛成、青いほうが反対です。

10年前から比べて、だんだんと「男は仕事、女は家庭」という考え方の人は減ってきていますが、まだ40%程度の人がそんな感じ。これはちょっとショックでした。化石かよ。

男性育休についても、「男が育児で休むなんて……」という人が職場に多ければ、育休は取りづらいでしょう。 

男性が育休を取りづらい職場の雰囲気

こういった、変わらない意識や古い価値観が積み重なって、男性が育休を取りづらい職場の雰囲気が生まれます。

本書で取り上げられている2002年の調査(ニッセイ基礎研究所)では、男性が育休を取ることについて、職場の雰囲気はどうかというアンケートに対して、「非常に取得しにくい」という回答が54.5%、「どちらかといえば取得しにくい」が21.8%。合計すると、取得しにくいという回答が76.3%でした。

これが10年経ってどうなったでしょうか。

少し前ですが、2013年のライフネット生命の調査では、こんな結果が出ています。

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出典:育児休業に関する意識調査 | 生命保険・医療保険のライフネット生命

「男性が育児休業を取得できる雰囲気がある」という質問に「あまりあてはまらない」「全くあてはまらない」と回答した割合が76.4%。ぜ、全然変わっていない……

以前の記事でも取り上げましたが、男性が育休を取らない理由の第一位は、「職場の雰囲気」です。これはけっこういろんな調査で上がっています。一例はユーキャンのもの。

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出典:男性育児休暇取得に関する意識調査結果!|【ユーキャン】 

 

10年経っても、男性が育児休業を取りづらい職場の雰囲気は変わっていません。

 

長時間労働(特に子育て世代の男性)

そもそも子育て世代の男性の労働時間が長く、業務繁忙・引き継ぎ困難というのも本書で挙げられている要素のひとつ。

昨年厚労省が出した過労死白書にある、性別・年代別の労働時間の推移を見ると、週に60時間以上働いている(=だいたい平日4時間残業、あるいは土日も出勤)人の割合で、30〜40代男性がぐんと高くなっています。

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ただし、60時間以上働いている人の割合自体は、下がってきつつあります。まだまだ他国に比べると、日本は長時間労働の傾向がありますが、長時間労働については、昨年の電通の事件などもあり、注目が集まっているところですし、今後改善していくことを期待したいですね。 

昇進への影響

最後に、男性が育児休業を取得して、昇進に影響する(評価が下がる)のでは、という懸念についてです。

2002年のニッセイ基礎研究所の調査では、社員として働いている人のアンケートで、育休を取ったことが評価にどう影響すると認識しているかの回答が以下のとおりでした。

  • 評価に影響しない:19.4%
  • 「どのような評価につながるのか不明確」:55.3%
  • マイナス評価につながる:24.9%

いっぽうで、同じ2002年、企業側に対する調査で、育児休業の取得が昇進・昇給にどう影響するかというアンケートに対しては、「影響がない」「復帰直後は遅れるがいずれ同じ水準になり得る」と回答した企業が70%以上でした。

評価へのマイナス影響はない(挽回可能)が、育休を取る社員側で、ちゃんと把握している人が少ない、という見方ができるかと思います。

ここについては、その後同じような観点の調査結果などを見つけられなかったのですが、たぶん、あまり変わっていないのではないでしょうか。

 

もっとも、育休中はフルタイムで働かないわけですから、業務の成果をもとにした評価については、育休中の期間について言えば、育休を取らない人と育休を取った人で差が出るのは当たり前だと思います。(ただし、育休取得を理由に評価を「下げる」ことは不利益取扱いにあたるので法律違反です)

この点については、企業が社員を評価することを考えればどうしようもないことなので、育休を取る側が割り切るしかないでしょう。

ちなみに僕自身は、そもそも自分の人生における時間の優先順位として、この時期については、働くよりも育休を取ることが大事だ、と考えているので、あまり気にしていません。

 

まとめると

さて、やたら長くなってしまいましたが、2004年の本『男性の育児休業』で挙げられている、男性育休の取得しづらさの要因と、それが10年経ってどのように変わったか、超ざっくりまとめるとこんな感じです。

  • 制度の柔軟性が足りない → 分割取得可能になるなど、着実に改善されている
  • 所得保障が十分でない → 育休給付金率が40%→67%に。着実に改善されている
  • 乳幼児あり夫婦共働きが少数派 → 出産を機に退職する女性の割合は10%ほど減ったがまだ50%くらいは退職する
  • 育休が就業規則に載っていない企業の存在 → 就業規則に育休の記載がない企業が5〜10%減った
  • 古い男女役割の意識 → まだ40%くらいの人が「男は仕事、女は家庭」の考え方を支持
  • 男性が育休を取りづらい職場の雰囲気 → 全然変わっていない
  • 長時間労働(特に子育て世代の男性) → 労働時間自体は短くなってきているが、子育て世代が一番忙しいのは変わらず
  • 昇進への影響 → 企業が社員を評価する仕組みの上ではなんともしがたい

青字はプラス要素、赤字は「まだダメじゃん」要素です。

ひとことで言うと、「制度は整ってきているが、まだまだ風土が追いつかない」という感じでしょうか。

育児休業の制度や給付金率などは、改善されてきており、国もそれを積極的に広報していますが、実際に働く男性が育休を取れるかというと、職場の雰囲気、言い換えれば風土がまだまだ阻害要因になっています。風土は、価値観や意識から形づくられるもの。ワーク・ライフ・バランスや男女の働き方など、人の考え方が変わっていかなければ、風土も変わりません。厚労省がすすめている「イクメンプロジェクト」などは、まさにこの点を改善しようとしているのだと思います。

個人個人でも、働き方に関するニュースや最新の情報をキャッチアップしたり、SNSなどを使ってそれをシェアしたり、意見を述べたりすることで、風土や空気を作っていくことはできるでしょう。

僕も微力ながら、うぇいうぇいやっていきたいと思います。

ではでは。

 

男性の育児休業―社員のニーズ、会社のメリット (中公新書)

男性の育児休業―社員のニーズ、会社のメリット (中公新書)

 

 

2017年1月1日施行の男女雇用機会均等法改正はマタハラ防止だけでなくパタハラ防止もポイント

こんにちは。奥さんが臨月なので今回の年末年始は帰省もせず平常運転だった橋本です。

お正月って公園が空いていていいですね。

さて、ちょうど昨日、2017年1月1日から、男女雇用機会均等法関連の改正法が施行され、いわゆるマタハラ(マタニティ・ハラスメント)対策が企業に義務付けられるようになりました。   http://news.tbs.co.jp/newseye/tbs_newseye2951321.htmlnews.tbs.co.jp

これまでも、妊娠や出産を理由にした「不利益取扱い」(解雇・減給・不当な配置換えなど)は法律で禁じられていましたが、一歩進めて、マタハラ対策まで法制度に組み込んだということですね。

育児休業取得者へのハラスメントも防止対象に

これ自体も素晴らしいことなのですが、もうひとつ重要なのは、育児休業(や介護休業)を取得しようとする職員に対するハラスメントも、同じように防止措置を行うことが定められたいう点です。

今回改正された、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」において、以下のように記載されています。  

第25条 事業主は、職場において行われるその雇用する労働者に対する育児休業、介護休業その他の子の養育又は家族の介護に関する厚生 労働省令で定める制度又は措置の利用に関する言動により当該労働者の就業環境が害されることのないよう、当該労働者からの相談に応 じ、適切に対応するために必要な体制の整備その他の雇用管理上必要な措置を講じなければならない。

具体的な内容としては、前述のマタハラ対策の内容と共通しています。

事業主に「こういうことをしなさい」と言っている内容をまとめるとこんな感じです。 

  • 職員の妊娠・出産、育児休業・介護休業・その他家族介護を理由に職場で不当な扱いを受けることのないように防止措置を行わなければならない。具体的には以下の通り。
    • 事業主の方針の明確化及びその周知・啓発
      • 就業規則等でハラスメントを禁止する旨を明記し、社内に周知・啓発する
    • 相談(苦情を含む)に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備
      • 相談窓口を設け、軽度・あいまいなハラスメントでも相談を受けられるようにする
    • ハラスメントが発生した場合の迅速かつ適切な対応
      • ハラスメントが発生した場合、速やかに対処を行い、再発防止策を講じる
    • ハラスメントの原因や背景となる要因を解消するための措置
      • 職員の妊娠・出産や育児・介護休業取得に応じて業務体制を整備したり、当該職員自身にも利用可能な制度などについて周知・啓発する  

参考:いわゆるマタハラ防止措置関係資料(厚生労働省)
 

個人的に強調しておきたい点は、育児休業(・介護休業)については、取得する職員が男性か女性かというのは定められていないということ。

つまり、今回の法改正は、マタハラ対策だけでなく、パタハラ(パタニティ・ハラスメント:男性が育児参加する権利や機会を、職場の上司や同僚などが侵害する言動におよぶこと)対策にもなっているわけです。

なお、実際にハラスメントに該当する行為は、具体的には以下のような例です。

f:id:ysck_hashimoto:20170102163816p:plain 参考:ハラスメントの防止措置の対象となる言動について(厚生労働省)

解雇等、不利益の示唆のみで、ハラスメントとみなされるよ、ということですね。

なお、実際に、もし育休を取ろうとしたときに、ハラスメントを受けた(かもしれない)というときは、各都道府県の労働局が窓口になるようなので、覚えておくと良いかもしれません。

参考:ハラスメント内容や相談窓口についてのパンフレット(厚生労働省)

男性も、育休は、取りやすくなってきている

先に触れた妊娠・出産時と同様に、育休取得に際しても、不利益取扱いは法律で禁じられていますし、こちらも、男女の区別はありません。

制度としては確実に、男性も育休を取りやすく(少なくとも、取りづらいことはなく)なってきています。

一方で、こういった制度があることを社会にしっかり周知していくこともとても大事です。その一助となればと思い、つらつらと書いている次第です。

みなさんも、これは大事だ!と思ったら、知り合いやSNSでつながっている人たち、特にプレ子育て世代の人々に教えてあげてはいかがでしょうか。

なお、詳しい情報は、厚生労働省のサイトをぜひ見てみてくださいませ。

雇用における男女の均等な機会と待遇の確保のために(厚生労働省)

ではでは。

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育休(育児休業)を取りながら働く「半育休」とは?を説明します

こんにちは。

まだ2記事目ということでキャラクター設定があいまいな橋本です。

もしかすると「あれ?さっきとノリ違くない?」みたいに感じることもあるかもしれませんが、どうか生温かく見守っていただければ幸いです。

 

さて、このブログのタイトルにもなっている「半育休」ですが、実際にどんな仕組みかを説明したいと思います。

 

半育休とは?

「半育休とは?」を箇条書きでまとめるとこんな感じです。

  • 育児休業を取得しつつ、通常より短い時間働くこと
  • 通常の育休と別制度ではなく、オプション的位置づけ。もともと育休自体が、「育休中に業務をすることも可能」という制度
  • 男女ともに使える制度
  • 月80時間までの業務がOK(育児休業給付金が給付される)(※)
  • 会社からの給与も(もちろん)支払われる(※)

 

ぶっちゃけると、要は「育休中だけど、ちょっとだけ働く」ということですね。あくまで通常の育休のオプション的な位置づけです。僕が男性(父親)なのでこのブログでは「男性の育休」前提の表現が多くなりますが、男女関係なく利用できる制度です。

ちなみに「半育休」という言葉も、特にオフィシャルなものではありませんが、表現としてわかりやすいので普及してほしいと思っています。

「月80時間までOK」の「OK」とはなんぞや、というと、80時間の勤務までなら、育児休業給付金の給付対象になるということです。ただし、給付金の金額については、会社からの給与の金額に応じて調整されることもあります。(※の部分)

ざっくり言うと、給付金と給与合わせた金額が、フルタイム時の月給の80%を超えないように、給付金が減額されます。このあたりは、別エントリーで詳しく説明しようと思っています。お金重要。(★2017/01/01追記あり)

 

かつては、「月80時間まで」ではなく、「月10日まで」というルールでしたが、育児休業給付金制度の改正によって、月80時間までOKとなりました。

これは地味に重要で、日数の制限がなくなったことで、1日2〜3時間だけ毎日働く、スーパー時短勤務みたいなこともできるようになりました。

しかも、在宅勤務も普及してきている昨今であれば、通勤時間もカットして本当に必要な仕事にだけ時間を割く、というのもやりやすくなってきています。

 

やっぱりこういう、ゼロかイチかではなくて、働き方・休み方を柔軟に変えられるって素敵です。

 

半育休が、男性育休の取りづらさをやわらげる

2014年の調査によれば、男性の育休取得のための障壁は、

1位:職場の理解が足りない

2位:育児休暇中の家計が不安

3位:育児休暇中に仕事を引き継げる人がいない

となっています。

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男性育児休暇取得に関する意識調査結果!|【ユーキャン】

 

半育休の最大のメリットは、「引き継ぎを完璧に終わらせなくても大丈夫になる」ということ。「仕事を引き継げる人がいない」については、属人性の低い業務を優先的に引き継ぎ、どうしても本人にしかできない業務については、育休中も本人が担当する、というやり方をすることでだいぶ解消されます。

引き継ぎがちゃんと済む場合も、「育休中も連絡を取れるし、(家庭との調整の上で)緊急対応もできるよ」という状況になるだけで、だいぶチームとしては動きやすくなるでしょう。

 

また第2位の「家計が不安」については、前述の通り、単に育休だと、フルタイム時の給与の67%(約3分の2)の給付金だけが収入になりますが、短時間の勤務を加えることで、最大でフルタイム時の80%まで収入を増やすことができます。

特に、育休を長くとる場合、育休開始から6ヶ月すると、給付金の金額がフルタイム時の給与の50%に下がりますが、給付金+給与でフルタイム時の80%まで、という上限は変わりません。育児が落ち着いてきたら働く時間を増やす、ということができれば、給付金の減額分を働いて埋め合わせることもできるでしょう。

もしそれでもまだ不安ということであれば、次の一手として「妻も半育休する」という選択肢もあります。夫と妻両方の職場で事前の業務内容調整が必要になりますが、夫婦ともにフルタイム時の8割まで収入がある、となればだいぶ安心できるのではないでしょうか。(★追記あり)

 

第1位の「職場の理解がない」については、半育休が直接の解決策にはならないかもしれませんが、会社との交渉(本来はいらないんですけどね)材料としてそういう制度・事例があることを伝えるとよいのではないでしょうか。

 

働いているけれど「育休中」であることの意味

半育休を取ることの意義のひとつは、「リソースの主従」のスイッチを切り替えることにあるのではないかと思います。半育休中は、仕事もするけれど、あくまで主として行うべきは家事・育児です。

月80時間までという制約があるとはいえ、仕事のほうに意識を持っていきすぎると、「短い時間働いて、合間に育児をする」という状況になりかねません。事前に育休中に行う業務のスコープをしっかり決め、無理のない程度にしておくことが重要でしょう。このあたりは、自戒もこめつつ……

 

実際に半育休で家事・育児と仕事をしてみてどんな感じかというのは、今後ブログでつらつらと書いていきたいと思います。ではでは。

 

追記(2017/01/01)

半育休中の収入に関して、Twitterでいくつかコメントをいただきました。

育休中は、社会保険料が原則免除されるのですが、会社から給与を受け取っている場合、以下のようになるそうです。

  • 雇用保険料 → 免除がなくなる(厚労省の資料にも記載あり)
  • 厚生年金保険料・健康保険料 → 働き方によっては、免除がなくなる

厚生年金保険料・健康保険料については、「育休中も、毎週月曜は出勤して7時間働きます」といったような、「定期的な就業」である場合、免除されなくなるとのことでした。ただし、緊急対応等突発的な業務なら免除はありのまま、なのだそうです。

このあたり、もう少し調べてみるつもりですが、もし、半育休取得を検討される場合は、事前に人事(や社労士さん)としっかり確認しておくのがよいかと思います。

 

参考:

育児休業や介護休業をする方を経済的に支援します(厚生労働省)

ハローワークインターネットサービス - 雇用継続給付

 

※本記事は2016/12/29時点の情報を元に執筆しています。制度等のアップデートがある場合もあるのでご注意ください

※公共系のウェブサイト等、信頼できる情報リソースを参考に執筆していますが、万が一誤り等あれば、Twitter等でメッセージいただけますと幸いです。

 

※このブログの書き手についてと、なぜこのブログをやっているのか?という想いについてはこちらをご覧ください!

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はじめましてと、このブログについて:半育休うぃるです

こんにちは。このブログを書いている橋本といいます。

読んでいただきどうもありがとうございます。

このブログは、育児休業を取得しながら、一部働く、通称「半育休」を取得(予定)のサラリーマンパパが、育児をしながら、育休を取りながら働くことについていろいろ書いていく、という感じのブログです。

 

通称「半育休」と言いましたが、ちょっと盛りました。通称どころか、そもそも半育休という言葉を聞いたことのある人はあまり多くないのではないでしょうか。

男性、つまり父親の育児休業については、2013年時点で約2%(内閣府少子化社会対策大綱よりと、取得するのは圧倒的少数というのが現状。

 

その背景には、

  • 収入が下がる(経済的な理由)
  • 仕事が引き継ぎきれない(職場環境による理由)
  • 仕事から長期間離れたくない(仕事好きな理由)
  • 「男は仕事、女は家庭」と思っている(クラシカルな価値観な理由) 

などいろいろあると思います。

 

こういった問題をどう解決すればよいかを考えたときの、ひとつの選択肢が半育休です。

時間配分を変え、仕事も続けながら育児の時間を多くとるという半育休であれば、前述したような育休の取りづらさを、部分的にではありますが、やわらげることができます。

また、生まれてきた我が子と触れ合う時間をぐっと増やし、育児や家族、子どもの未来について考えることは、この少子高齢化社会の日本で働くお父さん自身にとっても大きな意味を持つでしょう(もちろん、僕自身についてもそうです)。

 

そんなわけで、 

  • 半育休を広めたい
  • 男性が働き方や育児・家事について考えるきっかけを作りたい(自分も考えたい)

という想いを込めて、このブログを始めることにしました。

 

ブログでは、

  • 半育休ってどんな仕組み?
  • 半育休中に働く時間などの制約ってどんな感じ?
  • 給与はどれくらいもらえるの?

などなど、半育休という制度(厳密には、そういう制度があるわけでないのですが)を紹介したり、育児、男性の働き方を変えること……などについて、綴っていきたいと思っています。

 

……と、まあ、今のところはそんな風に考えているのですが、たまに横道に逸れたりするかもしれません。明日は明日の風が吹く

 

ちなみに、僕自身について少し触れると、普段はフローレンスというNPOで、システム保守や広報(コーポレートサイトのNEWSやオウンドメディアの編集)の仕事をしています。前職は金融系ITベンダーでなんちゃってSE的なことをしていましたが、2015年4月に転職しました。

それと、生まれてくる子どもは第二子で、上には娘が一人います。なのでまったくもって育児経験なし、というわけではありません。しかしながら、一人目が生まれたときは里帰り出産、仕事もフルタイム&まあまあ長時間労働だったので、赤ちゃんだった娘とは土日に触れ合うくらいで、出産直後の大変さはほとんど経験していません。

 

きっと実際に子どもが生まれたら、いま想像しているよりもずっと、いろんなことが大変なのだろうと思っていますが、とにかく、精一杯家族と向き合いたいなと思っています。

ではでは、よろしくお願いします!