パパ半育休からの時短なう

育児休業を取りながら働く半育休の話を中心に、育休の制度や子育てについてつらつらと。

パパ半育休生活レポその1:退院〜男児の洗礼、現在の働き方

こんにちは。なんだか雰囲気の固いブログ記事ばかり書いております橋本です。育休ブログなのに自分の育休の話があまり出てこないのもなんだかなという感じなので、定期的にまとめていきたいと思います。

実は、ライトな育児日記的なものは、LINEブログにつらつら書き連ねています。お暇がありましたら、ご笑覧くださいませ。

http://lineblog.me/yoshichiha/

■赤ちゃん育児状況

1月13日に第二子(男子です)が生まれました。普通分娩、会陰切開もなしということもあり比較的奥さんの身体の回復もはやく、4日後の1月17日にめでたく退院となりました。

まだお腹から出てきてそれほど経っていないこともあり、赤ちゃんはだいぶおとなしいです。今のところ母乳メイン、ミルクがサブという感じで授乳しています。幸いにも母乳はしっかり出るほうで、そのぶん胸の張りなどもあり、まずは母乳を飲ませる、となることが多く、そうすると飲ませているうちにうんちをして、おむつも取り替え……と、流れで赤ちゃんの世話は奥さんが主となっている感じです。もちろんミルクのときは僕があげたり、おむつ替えをすることもあります。

おむつ替えして驚くのは、「新生児ってお尻固いな〜」ということ。「赤ちゃん=ぷにぷに」というイメージが強いと思いますが、生後すぐはまだお肉が少なく、どちらかというと身体は骨ばっている感じです。ただ、肌はとても柔らかく、ほっぺなどは「ぷにっ」というより「ふわっ」としています。

そんなおむつ替えでは、男児ならではの「おしっこがぴゅっと飛ぶ」にちょくちょくやられています。肌着やベビー服がすべて濡れてしまうこともあり、洗濯物がだいぶ増えています。

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また、出生届も無事に提出してきました。ちゃんと受理されました(そりゃそうだ)。これで日本国民の仲間入りです。

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それからしれっとへその緒が取れました。奥さんがおむつ替えしているときにぽろり。決定的瞬間を見られなかったこと、ちょっと悔やまれます。

lineblog.me

へその緒、産婦人科からもらった木箱に入れておいたのですが、上の子(2歳9ヶ月女児)がなにげなく「これなあに?」と取り出し、いきなり引きちぎろうとするという事案も。危ない危ない。それだけでなく、クーファンに入って寝ている赤ちゃんのそばを上の子が走り回るので、けっこうそわそわします。ていねいに声掛けをして、気をつけるようにしたいとは思いますが、ちょっと心配なので、何かよい策がないか考え中です。

まあ、上の子も赤ちゃんを可愛がってくれているので、それは何よりなのですが。

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■仕事もしてます

今のところ、週2〜3日、数時間ずつ、在宅と出勤を組み合わせて仕事をしています。

具体的に、先週の状況で言うと、

1月16日:出勤(1時間半ほど)

1月17日:奥さん・赤ちゃん退院日。業務せず

1月18日:業務せず

1月19日:在宅勤務(3時間ほど)

1月20日:出勤(3時間ほど)

という具合です。やっている仕事としては、自社メディア関連の記事作成、報告資料作成のサポート、メール等チェックして全社・他事業部の状況をざっと把握……という感じです。赤ちゃんが午前中おとなしく寝ていることが多いので、仕事をする場合はその時間帯にすることが多いです。柔軟に仕事させてもらっているので、とても助かっています。

実際に育休しながら働いてみて

半育休(育休を取りつつ働く)で、育児休業給付金を受け取りつつ働けるのは、月に80時間までと決まっているので、これが時間の上限となります。*1

ひと月20営業日と考えると、1日4時間なので、フルに80時間働くとするとけっこうなボリュームです。僕の場合は持っているタスク的にそこまではいらないので、今の感じだと、週2〜3日、一回に2〜3時間程度、月合計でも30〜40時間くらいかなという見込み。これくらいであれば、家事にはフルコミットできますし、その上でまだ余裕があるので、赤ちゃんの寝ぐずりなど出てきても、奥さんとうまく負荷分散できるのでは、と思っています。

とにかく、半育休とはいえ、メインは育児休業なので、優先順位を間違えないようにしていかねばですね。また今後も状況レポートしていきたいと思います。

これから育休を取ろうと思っている方の参考になれば幸いです。

 

*1:詳しくはこちらをどうぞ:

ysck-hashimoto.hateblo.jp

 

パパが出産予定日前から育休に入るメリットと、そのハードル【訂正・追記】

こんにちは。本格的に育休に入っている橋本です。

今のところ

家事:自分80%・奥さん20%

赤ちゃんの世話:自分20%・奥さん80%

上の子の世話:自分50%・奥さん50%

という感じでやっております。もう少し赤ちゃんのミルクとかおむつ替えとかもやりたい気持ちもあるのですが、おっぱいの張りを抜くために母乳にすることが多く、そうすると自然とおむつ交換のタイミングに奥さんが気づく……ということが多いです。まあ、それで困っているわけではないので、赤ちゃんの成長具合に応じて、柔軟にやっていければと。赤ちゃんかわいくて毎日クンカクンカしてます。

 

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さて、自分としては比較的スムーズに育休に入れたと感じているのですが、ポイントだったのは、赤ちゃんが生まれる前に家事を引き継ぐ期間を設け、育休の生活リズムを作っておいたことではないかと思います。具体的には、予定日の3日前(土日を含めると5日前)からプレ育休に入り、家事の配分を自分に寄せて、上の子の送り迎えもやって……という感じで準備するという具合でした。

それが功を奏して(というほどのことでもないけど)、赤ちゃんが生まれたあとも家事や上の子の保育園関連を引き続き自分が担当し、奥さんは身体のケアと赤ちゃんの世話に集中するという体制を作ることができたわけなのですが、改めて振り返ると、予定日の前から休みに入っておいたことのメリットは他にもいくつかありました。こんな感じです。 

  • 家事やきょうだいの育児の引き継ぎ期間を作れる(前述の通り)
  • 陣痛や破水など、出産の前のイベントに対応しやすくなる
  • 出産前にふたりだけの落ち着いた時間を取れる
  • そもそも予定日より前に生まれる可能性もある

少し補足します。

陣痛や破水など、出産の前のイベントに対応しやすくなる

出産の前には、ママの陣痛が始まったり、場合によっては破水(卵膜が破れて羊水が出てくる)したりと、お産の兆しであるイベントがあります。いつ起こるかはわかりません。朝ごはんを食べているときかもしれないし、夜中かもしれないし、日中パパが仕事に行っているときかもしれません。

当然、ママがひとりで対応するよりも、パパと一緒にいたほうが、入院グッズを確認したり、タクシーを呼んだりといったプロセスがスムーズに進むでしょう。特に、破水したときは、動くたびにママのお腹から羊水が出てきて(度合いは人によりますが)、自分の意志で止めたりすることはできません。そんなときパパがいればかなりママは助かると思います。

ちなみに超蛇足ですが、うちの奥さんの一人目の出産のときは、夕飯後に僕がおすすめしたマンガ、ジョジョの奇妙な冒険(第二部)を読んでトイレに行ったらおしるし(ちょっとした出血)があり、その後布団で横になったらブツッと音がしてジョバァーと破水したそうです(里帰り出産だったので僕はいなかったのですが)。最近上の子、静電気でビリっとくることが多いなと思っていたのですが、もしかしたら波紋?

出産前にふたりだけの落ち着いた時間を取れる

第二子以降の出産だと、出産直前でも上の子の世話でてんやわんやです。生まれてくる赤ちゃんの名前や、どんな子どもに育ってほしいかなど、ゆっくり話す時間もあまり取れません。

今回早めに休みに入ったことで、奥さんとゆっくり話す時間を取ったり、近所の気になっていたレストランに一緒に行ったりと、少しの間ですがゆったりと過ごすことができました。外食なんて赤ちゃんが生まれ、上の子もいたら、数カ月行けないかもしれないですからね……

また、出産が近づくと、赤ちゃんがお腹の下のほうに下りてきて、ママのお腹の張りはより強まったりするのですが(うちの場合は奥さんがよくそう言っていました)、そういったママの体調の変化を、長い時間一緒にいるとよく知ることができるし、出産に向けた不安や、そわそわした気持ちを共有できたのもよかったです。まあ、休みに入らなくても、寄り添い力の高いパパなら大丈夫かもしれませんし、そわそわしていたのは僕だけだったかもしれませんが。

そもそも予定日より前に生まれる可能性もある

地味に大きいのがこれです。おそらくどなたも、「予定日より早く生まれちゃって……」というママさんの言葉を聞いたことがあるのではないでしょうか。

とある病院のデータによると、実際に出産に至ったタイミングが妊娠期間のいつかというのは以下のようになっていたそうです。

37週……3.7%
38週……12.5%
39週……30.8%
40週……34.9%
41週……18.1% 

出典:出産予定日に生まれる確率はどれくらい? [妊娠の基礎知識] All About*1

出産予定日は40週0日なので、それより前に生まれる赤ちゃんもけっこういるということですね。我が家の場合も、上の子は予定日の1週間前に生まれました。 予定日より早く生まれる可能性はそれなりにあるので、出産に備えパパが早めに休みに入る意味は大きいと思います。

しかし……育休制度上、男性は子どもが生まれてからしか休みに入れない【訂正あり。予定日から育休に入れます、が、給付金は別】

パパのプレ育休は、前述の通りメリットが多いのですが、現状の制度としてはちょっとだけやりづらいところがあります。それは、子どもが生まれる前の休みは育児休業期間にならないということです。

育児休業を取得できるのは、子どもが生まれたその日からと法律で決まっています。これは男女問わず同じなのですが、女性の場合、産前産後休業と連続になっているので、あまり意識しないことも多いと思います。しかし男性の場合、子どもが生まれたその日からしか育休を取ることができません。そのため、赤ちゃんが生まれる前の期間は育休ではなく普通の有給休暇(以下、有休)扱いになります。

 

特にネックになるのは、出産予定日より生まれるのがあとになるケース。そうすると、出生が1日遅れるごとに、1日ずつ有休を消化していくことに。

もちろん、有休に余裕があれば問題はないのですが、先に有休を多く使ってしまうと、今度は保育園に入園後、子どもが体調を崩したときなどに対応することが難しくなってきます。子育て世代にとって、有休はちょっとしたライフラインです。

2018/04/22訂正

こちら、誤りの指摘いただきました。男性の育児休業ですが、「子どもが生まれた日」ではなく、「出産予定日」から休業に入ることができるのだそうです。詳細は以下リンクから。大変失礼しました!

男性の育児休業はいつから取得できますか? : 大熊社労士の分かりやすい人事労務管理相談室

ただし!休みに入ることは予定日からできるものの、雇用保険から育児休業給付金が給付される対象になるのは、出産日から、なのだそうです。

収入のことを考えると、育児休業に入った状態で、有給休暇を使うということは難しいでしょう。そうなると、予定日から育休に入ったけど、まだ生まれていないから給付金対象期間にならない、という状態が発生する可能性があります。

なので、後から述べるように、配偶者出産休暇や慶弔休暇など、会社の休暇制度をうまく組み合わせることも、検討したほうがよいでしょう。

また、育児休業の開始予定日を、前倒しではなく後倒しする場合、勤め先がそれを認めてくれるかは確認が必要になるようです。なかなか面倒ですが、事前に丁寧にコミュニケーションをとっておくことが大事そうですね。

 まず、休業開始日の繰上げについては、早産等の特別な事情が生じた場合、1回に限り、変更後の休業開始日の1週間前までに申し出ることで変更することができます。
 また、休業終了日の繰下げについては、特に事情がなくても、1回に限り、休業終了日の1ヶ月前までに申し出ることで変更することができます。
 一方、休業開始日の繰下げや、休業終了日の繰上げについては、法律上の規定はなく、事業主はそれらの希望があっても変更を認めなくてもよいことになっています。(もちろん、法律に定めがないだけであって、変更を認めることは問題ありません) 

引用元:育児休業の開始日や終了日を、繰り上げたり繰り下げたりできるか

自分の場合:慶弔休暇が前倒しで取れた

そんな感じのことを、育休の書類確認などのついでに人事担当と話したところ「たしかにそれは困るね。ちょっと待ってね……」と。何かいい方法があるのかな?と思っていたら、しばらくして「うちの就業規則上、慶弔休暇(出産)の日付前倒しができるので、それを使って!」という素敵な情報が。そんなわけで、僕は1/10(火)から休みに入って、1/13(金)に第二子誕生だったのですが、

1/10:有休(実際には半日在宅勤務したので半休)

1/11:慶弔休暇

1/12:慶弔休暇

1/13〜:育児休業

という感じで、通常の有休を温存することができました。2日間慶弔休暇でカバーできたのはけっこう助かります。人事チームの皆さんにマジで感謝です。

この記事で言いたいこと

僕が育休に入るまでの経緯を長々と書いてきましたが、今回言いたいことはこんな感じです。

(1)これから育休を検討している男性へ

ぜひ、数日でよいので出産予定日より前に休みに入って、家事・育児の引き継ぎ環境を作ることをおすすめします。「赤ちゃんが生まれたらしばらく母子入院だから、その間にいろいろできるじゃん」という考えもなくはないですが、第二子以降の場合、入院とともにワンオペ育児期間にINするので、その前にゆとりを持って準備をしておいたほうがいいと思います。

その際に、前述したように、会社の休暇制度がどのようになっているかは、確認しておくとよいでしょう。会社によっては、慶弔休暇や、配偶者出産休暇といった、子どもが生まれたときに使える休暇がありますが、休みの取り方のルールも細かく規定されているので、「子どもが生まれた日以降にしか取れない」制度の場合もあります。事前に就業規則を見たり、人事と確認するのがよいと思います。

(2)企業の人事担当の方へ

慶弔休暇や配偶者出産休暇の取得の仕方について、育休に入る前につなげて取れるような就業規則にするようにしていただきたいです。鬼のように地味な話ですが、それによって男性社員は育休に120%コミットでき、復帰後の不安も減り、従業員満足度も上がると思います。ぜひ就業規則のご確認と、もし「生まれた後しか取れない」制度であれば、柔軟に取得できるように改正していただければと思います。そして社内広報して男性育休を盛り上げましょう。

さいごに

今回は、そもそも男性の育休がちゃんと運用される環境であるという前提の上で、よりよいパパ育休に、という話です。なので、男性の育休取得率が3%以下である現在の状況では、ぜいたくな悩みかもしれません。

というか正直、書きながら、時代を先取りしすぎて共感されなそうな気がビンビンしています。

でもですよ。そもそも、人生に数回しかない、自分の子どもが生まれるというビッグイベント。それくらいのぜいたくをしたっていいじゃないですか。会社だってそんなときくらい社員にやさしくしたらいいじゃないですか*2。いっそ育児・介護休業法改正で、育休を前倒しで取れるようになったっていいじゃないですか。トータルの期間が同じならいいじゃないですか。そんな風になったら、僕は嬉しい。

そんな雑なまとめで今回の記事を締めたいと思います。何卒何卒。

 

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*1:湘南鎌倉総合病院という病院のデータとのこと。元データは見つけられませんでしたが、特におかしなデータではないと思います。

*2:僕はしてもらえたのですが

たった2日ならワンオペ育児でもいけると思ってたけど地味に大変だった件

こんにちは。ようやく本当に育休期間に入りましたがさっそく昨日ぬるっと1時間半だけ出社してきた橋本です。

 

出産後、奥さんと第二子は数日間病院に入院しているので、自宅では上の子(2歳9ヶ月)と二人きり。いわゆるワンオペ育児状態です。

実家から奥さんのお母さんがヘルプに来てくれた日もあったので、ずっとではないのですが、ざっくり2日間くらいはワンオペでした。たった2日ではありましたが、普段の夫婦での家事・育児に比べてやはり大変さは増します。どういう点が大変だったか書いてみたいと思います。

思いつくところでは、以下の3点です。

  • 父がだめなら母が、というオプションがない
  • 子どもに呼ばれるという強制割り込みタスク
  • 夜の遅れが朝につながるプレッシャー

 父がだめなら母が、というオプションがない

山は越えたのですが、2歳の娘はまだまだイヤイヤ期。「お風呂入ろう」「ねんねしよう」という、次の行動に移るタイミングで、ちょいちょいイヤイヤが発動します。

いつもは、父が言ってだめなら母が別のアプローチ(たとえば「おもちゃと一緒にお風呂入ろう!」みたいな)で攻めるという感じで誘いをかけていたのですが、ワンオペだとそれができません。もちろん一人でもあの手この手を使って誘うというのはできるのですが、やはり声をかける人がかわるパターンに比べると効果が薄くなる気がします。何より、

「お風呂入ろう?」

「はいらない」

「じゃあ、アンパンマンのおもちゃ持って入ろう」

「はいらない!」

「じゃあ、別のおもちゃを持って・・・」

「はいらない!!」

「・・・」

みたいな感じで、2、3パターンやり方を変えても拒否されると、げっそりしてだんだん新しい誘い方を思いつかなくなってきちゃうんですよね。こういうとき、ひとりでなければ、いったん奥さんにバトンタッチするなどして、消耗した精神力を回復させられるのですが、ひとりだとそういうことができず、不毛な戦いに突入しがちです。

 

子どもに呼ばれるという強制割り込みタスク

我が家では、奥さんが入院する前から、一通りの家事・育児タスクについては(普段自分が担当でないものも)自分もできるようにしておきました。「やり方がわからない」「ゴミ袋の替えの場所がわからない」みたいなことはない状態だったので、ひとつひとつのタスクをこなすことは特に問題なかったのですが、やりづらかったのは、娘に呼ばれて家事がちょいちょい中断するということでした。

夕食を終えて、「よし、食器を洗おう」(食洗機欲しいのですが場所がなく置けません……)ということでお皿を洗い始めると、2、3枚洗ったところで「おとうさんもいっしょにやろ」と声がかかります。

「おとうさんもいっしょにやろ」

「お皿洗ってるからちょっとまっててね」

「・・・おとうさんもいっしょにやろ」

「ちょっとまっててね〜」

「いっしょにやろうよ〜」

「ちょっ」

「いっしょにやろ!」

まあ幸いにも、それで怒ってギャン泣き、というようなことはないのですが、待たせながらひとつの家事をやりきることができるときもあれば、できないときもあります。どうしても効率は落ちますし、「自分でやることをコントロールしている感」が得られないので普通より疲れます。(アンコントローラブルであることのストレスというのは育児全般だと思いますが)

最終兵器おかいつ(おかあさんといっしょ)録画解放という手段もありますが、それでも「おとうさん、みてみて〜」と声をかけられれば、さすがに無視するわけにはいきません。

「俺ってば家事全般できるし」というしたり顔でいましたが、その間奥さんが子どもと遊んでいてくれたからスムーズにできていたのだということを改めて実感しました。

夜の遅れが朝につながるプレッシャー

昨日は、保育園の帰りに病院に寄ったのですが、やはりお母さんと離れるのは寂しいようで、ぐずって予定より帰宅が遅れ、夕食も遅れ、お風呂も遅れ、就寝も遅れ……という感じでした。そうするとどうなるかというと、シンプルな話ですが、翌朝の起床が遅れます。朝食が遅れ、着替えが遅れ、保育園登園が遅れ……

幸い今は育休中で、朝の出勤がギリギリということもないので、クリティカルな問題にはなりませんが、「遅れている」という状態は常にストレスフルです。夜、良い具合に子どもを寝かしつけられないと、朝も「時間がない」「ああ、遅くなる……」という状態になることを想像してブルーになります。

夜の遅れも朝の遅れも自分ひとりに跳ね返ってくるというプレッシャーは地味に辛いです。

ではどうするか?

それぞれの問題についてどうするか、対応案をロジカルに考えてみるとこんな感じです。

父がだめなら母が、というオプションがない

→子どもの次の行動を促す誘い方のオプションを多数持つ。メモ帳などに書き付けておき、順に試す

子どもに呼ばれるという強制割り込みタスク

→家事をより細分化して捉え(食器洗いであれば、「洗い」「すすぎ」「拭く」に分けるとか)、その合間に対応する

夜の遅れが朝につながるプレッシャー

→ひとつひとつのイベント(夕食、お風呂、寝室への誘導……)の見積もり時間を多目にとり、早めに行動を起こす

 

こんな感じでできれば、ワンオペでも多少やりやすくなるかもしれません。また、ワンオペでなくでも応用できるかもしれないですね。

本当に大事なこと

・・・というロジカルな対応はひとつの考え方なのですが、本当はそれよりも、当たり前ではありますが「少しでもワンオペをなくす」というほうがずっと効果的です。

ワンオペの大変さは、前述のとおり「自分でコントロールできることが少なく感じられるのでストレスになる」ということ。5分でも10分でも、自分の時間が取れたり、家事をやるにしても家事だけに集中できる状態を作ることができれば、だいぶ気持ちは楽になると思います。実際にワンオペしてみて実感しました。

たった2日ではありましたが経験したワンオペ育児、夫婦それぞれ予定もいろいろあるので、ゼロにはできませんが、いろいろな手段を使って、なるべく減らすよう心がけたいと思います。

第二子が生まれました

タイトルのとおりですが、昨日1月13日、無事に第二子が生まれました!
2766gの男の子です。

 

ちょうど出産予定日どおりでした。前々日くらいまで、あまり兆候がなかったので、「いつごろになるのかな〜」と思っていたところ、ぴったり予定日に誕生。母子ともに元気でなによりです。

 

当日の流れはこんな感じでした。

 

5:30 微弱な陣痛。奥さん目をさます。
6:30 陣痛感覚は10分くらいだけれど、痛みがさほどでもないので、とりあえず病院に電話。「一応来てください、入院になるかどうかは診察結果しだいで」とのこと。
7:10 奥さん、歩いて病院へ(普通に歩けた)。上の子と自分はいつもどおり朝の身支度して、いつもの時間に保育園へ。
8:20 上の子の保育園送り後、病院へ。陣痛はあるものの、痛みはまだそれほどでもない。9時ごろにお医者さんの診察になるのでそれ次第とのこと。すぐ生まれる感じではなく、診察中は部屋にいられないので、とりあえず自宅に戻る。
11:30 6センチくらいに子宮口が開いてきたと奥さんから連絡。昼ごはんを食べてから家を出る。
12:20 再度病院に到着。奥さんはもう分娩室にいて、陣痛もけっこうつらそう。痛みがきたときに背中側から腰をぐっと押すという感じですごす。
12:50 陣痛が弱め(間隔が少し広い)とのことで、陣痛促進剤を使いますか?と先生から聞かれる。
・使わない場合は日付が変わるくらいまでかかるかも
・使ったらおそらく夕方くらいには生まれる
・使ったほうがお産のリスクは少ない
とのことで、「では使います」ということで承諾書にもサイン。
13:10 と、思いきや急に強めの陣痛が来る。改めて診察してみたところ、子宮口全開ということで、先生も来て、そのまま分娩に。
13:30 吸引(赤ちゃんの頭をバキューム的なもので引っ張る)も併用しつつ、いきんで、無事に出産。お腹から出てきたとたんに元気にオギャー!と泣く。

 

「陣痛弱めだから促進剤使おうか」と先生から提案されたとき、奥さんは「仕方ないけど、できれば使わずに生みたかった!」と思ったらしいのですが、そう思ったとたんにいい陣痛が来て、蓋を開けてみれば夕方どころかお昼に生まれる、という感じで、夫婦ともにびっくりしました。お母さんの気持ちをくんでくれる赤ちゃんだったということでしょうか。

 

ということで、奥さんはこれから数日間入院、その間家事育児はワンオペです。家事も育児も、ひとつひとつは一通りできるのですが、全部を1人でやるというのはあまり慣れていないので、初日の夜から、思っていたよりちょっと疲弊気味です(苦笑)。でもいい機会なので頑張ります。
そして奥さんと赤ちゃんが帰ってきたら本格的に育休。制度的には、子どもの出生日から育児休業を取得ということになっているので、ブログのタイトルも「半育休うぃる」から「半育休なう」に変更しました。


このブログにはなるべく(あくまでなるべくですが)実用的なことを書いて、もう少しつらつらとした育児日記などはLINEブログに書いていこうかなと思っていますので、お暇でしたらそちらもどうぞ(状況次第ではありますが……)。

とにかく、これからもどうぞよろしくお願いいたします。何卒何卒。

 

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不妊治療のオプションとしての特別養子縁組と、血のつながりにかかわらず大切なこと。『産まなくても、育てられます』

こんにちは。育休的な休みに入ったものの、まだ生まれる気配なく、毎日ブログばかり書いている橋本です。苦笑です。

 

僕の働いているフローレンスというNPOでは、赤ちゃん縁組という事業を行っています。望まない妊娠などで、子どもを生んでも育てられないという女性と、子どもが欲しいけれど授からない夫婦をつなげ、特別養子縁組*1という制度で赤ちゃんを縁組するという取り組みです。

そんな赤ちゃん縁組を担当するメンバーが「とても良い」と言っていた本を読んでみました。『産まなくても、育てられます』という本です。

 

産まなくても、育てられます 不妊治療を超えて、特別養子縁組へ (健康ライブラリー)

産まなくても、育てられます 不妊治療を超えて、特別養子縁組へ (健康ライブラリー)

 

 血のつながらない子どもを特別養子縁組で迎え、わが子として育てている夫婦のほとんどが不妊治療の経験者です。つまり、「子どもがほしい」と考えたとき、不妊治療以外にも方法はあるのです。ただ、「養子を迎えたいと思うけれど、不安なことがある……」という人も多いでしょう。本書では、子どもを迎えた夫婦の体験談から特別養子縁組に必要な知識と手続きまで、「親」になるために知っておきたいことのすべてをまとめました。(Amazonの書籍紹介より)

目次は以下のとおり。

序章 つながる不妊治療と特別養子縁組
第1部 養子を迎えるということ ~「気持ちの壁」の乗り越え方
 第1章 私たちが特別養子縁組を決断するまで
 第2章 「親子」への道のり
第2部 特別養子縁組の基礎知識 ~「法的な壁」の乗り越え方
 第3章 特別養子縁組のしくみ
 第4章 特別養子縁組の申し立てから成立まで 

特別養子縁組で子どもを迎えた8組の夫婦のエピソード(多くが不妊治療の経験者)から始まり、「真実告知」「試し行動」など、血のつながっていない子どもと「親子」の関係を作っていくための鍵となるイベントについて説明、最後に特別養子縁組という法制度の概要と、実際に子どもを迎えるプロセスを細かく紹介する……という内容です。

特別養子縁組に関連するこれまでの書籍だと、制度のあらましや背景にある社会問題など「制度より」のものと、養子を迎えた家族、あるいは望まぬ妊娠をした女性の物語を深掘りしていく「エピソードより」に分かれる感じだったのですが、『産まなくても、育てられます』(以下「本書」)は両内容がバランス良く、またエピソードから制度の詳細へという流れのおかげで、より「入りやすい」本になっています。

「出口の見えないトンネルの中にいるようだった」

前述の通り、本書のエピソードに登場する夫婦の多くは、長い不妊治療と、それでもなかなか子どもが授からないという苦しみを経験してきた方々です。その辛さは「出口の見えないトンネル」と表現されています。

子どもができない、できても流産を繰り返してしまうという体験をした女性たちは、しばしば、「あの頃は出口の見えないトンネルの中にいるようだった」という表現をします。

僕の友人にも、不妊治療を経て子どもを授かった夫婦が何組かいます。本書を読んで気になったので、実際に不妊治療で子どもを授かることができるのはどれくらいの割合なのか、調べてみました。

厚生労働省のサイトにあったグラフで、2006-2008年に不妊治療を開始したケースで出産に至った割合を年齢層別にまとめたものが以下です。

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出典:「不妊に悩む方への特定治療支援事業等のあり方に関する検討会」報告書(厚生労働省、2013年)

  • 34歳以下だと、治療を9回行えば70%程度のケースで出産に至る
  • 35-39歳だと、治療を10回行えば45%程度のケースで出産に至る
  • 40歳以上だと、治療を10回行えば10%程度のケースで出産に至る

というデータになっています。*2単純にこれが「不妊治療の成功率」と言えるわけではありませんが、比較的近いデータかと思います。年齢や、当然個人差にもよりますが、不妊治療を重ねてもなかなか子どもが授からない人も一定数いるというのは確かでしょう。

不妊治療のオプションとしての特別養子縁組

そういった不妊治療で悩む夫婦に対して、本書では、プラスアルファの選択肢としての特別養子縁組の検討をすすめています。45歳で実際に養子を迎えた夫婦(ミサコさんとトオルさん)のエピソードに添えて、このように述べられています。

ミサコさんが強く言っていたのは、「結果的に自分で産むにせよ、養子を迎えるにせよ、子どもを持つための複数の選択肢を考えておくことが大事」だということです。

自分で産むことにこだわらなければ、子どもを持てる可能性は広がります。子どもがほしいけれど、なかなか授からない、という状況になった時点で、不妊治療以外の選択肢も頭に入れておくのがベスト。そうすれば、不妊治療に行き詰ったときに、すぐに別の選択肢に切り替えることだってできると、ミサコさんは反省も込めて、後輩たちに伝えているそうです。

もともと特別養子縁組という制度は、子どもの福祉のための制度。実の親に育ててもらうことのできない子どもを家庭環境で養育することで、子どもの福祉を守るというのが本来の趣旨です。ですが、晩婚化・晩産化が進む今の日本では、不妊に悩む夫婦を助けるための仕組みとしても、今後より重要になっていくでしょう。 

法改正で特別養子縁組の支援が強化される

特別養子縁組を希望する夫婦の窓口となるのは、行政(児童相談所)や、フローレンスのような縁組を事業として行う団体です。このうち、児童相談所については、これまでは子どもの虐待対応などに追われ、特別養子縁組に取り組むことができないところも少なくありませんでした。

厚生労働省の調査では、2014年度に全国の児童相談所特別養子縁組を前提に里親委託をした件数は282。平均すると、一つの児童相談所につき1.5件ということになります。もっとも多く養子縁組につなげていたのは大阪市の12件で、全体の4割強にあたる86の児童相談所では0件でした。

しかし、これが今後は改善される可能性があります。具体的には2016年の児童福祉法改正により、児童相談所の業務として、養子縁組に関する相談・支援が明確に位置づけられるようになりました。*3特別養子縁組を前提とした里親委託(養子縁組里親)も制度として整備され、行政の支援が強化される見込みです。

(2)特別養子縁組も育休の対象に

また、育児・介護休業法でもアップデートがありました(育休の話!)。特別養子縁組では、法律上の親子になるまでに、半年間の試験養育期間(正式には「監護期間」)があるのですが、その間は赤ちゃんは夫婦の同居人扱いなので、育児休業の対象ではありませんでした。

それが、ちょうど2017年1月から、特別養子縁組の監護期間や養子縁組里親でも、育児休業が取得できるようになったのです。*4血のつながりだけでない、多様な家族のかたちを支援するという国の姿勢のあらわれですね。

(3)民間団体の養子縁組あっせんに補助が出るように

また、行政ではなく、フローレンスのような民間の団体を介しての縁組についても、法律のサポートがつくようになります。民間団体での縁組は、国からの補助などがないため、縁組にかかる実費(ケースワーカーの人件費や、場合によっては生みの親の医療費など)を、赤ちゃんを迎える夫婦に負担してもらうことがほとんど。費用は、ケースによりますが、数十万から200万くらいまでかかることもあります。団体の事業運営(資金繰り)的にも大変でした。

これが新しい法律によって変わります。2016年に成立した特別養子縁組あっせん法案により、行政からの補助や研修の支援が行われることになりました。*5細かい補助の内容は定まっていないのではっきりとは言えませんが、これによって、団体の事業運営がやりやすくなりますし、子どもを迎える夫婦の負担も減る可能性が高いと思います。

特別養子縁組そのものが、より広まっていけば、今後もこのように法制度などでの支援の幅も広くなっていくでしょう。

血のつながりにかかわらず、大切なこと

我が家は、不妊に悩んだことはありませんが、第一子の誕生前、妊娠3ヶ月ごろに、奥さんの流産を経験しました。妊娠初期のことではありましたが、辛い経験でした。

僕はすでに子どもを生んで育てている夫婦にも、本書をぜひ読んでみてほしいと思っています。養子として迎えた子どもに出生の経緯を伝える「真実告知」についての説明で、本書ではこのように述べています。一番心に残っている部分です。(太字は筆者)

育て親が最初に子どもに伝えるべきことは、出生のディテールではなく、「あなたを産んではいない」けれど、「どれだけあなたを待ち望んでいたか」「わが家に来てくれて、どれだけうれしかったか」ということなのです。

これって、「養子だから」ではなく、すべての親子に言えることではないえしょうか。

お腹を痛めて産んだ子どもでも、養子として迎えた子どもでも、子どもを授かった嬉しさは同じ。「家族として、一緒に幸せに生きていきたい」という気持ちも同じです。

血がつながっているからこそ、愛情は「伝わるもの」として意識しないことも多いのではないかと思います。でも、愛情は「伝えていく」ことが大事ですよね。僕自身も、日々やんちゃをしている娘、これから生まれてくる息子に、「生まれてきてくれてありがとう、大好きだよ」と、ずっと言い続けていきたいと思います。

 

というわけで、子どもを産んで育てている方にも、オススメの本です。ぜひお読みください!

産まなくても、育てられます 不妊治療を超えて、特別養子縁組へ (健康ライブラリー)

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実際に特別養子縁組で子どもを迎えた夫婦のエピソードをより詳しく知りたいという方は、こちらの本もおすすめです。著者のうさぎママさんのカジュアルであたたかい語り口が読みやすいです。

産めないから、もらっちゃった!

産めないから、もらっちゃった!

 

 

*1:養子縁組の制度には、育ての親と養子を法律上の実子とする特別養子縁組(子どもの福祉のための制度)と、戸籍にも「養子」として記載しして実親との関係も残る普通養子縁組(家を残すなどの目的)の2つがあります。ここでは前者の特別養子縁組に言及しています

*2:「XX歳で不妊治療を始めた人」といった切り口の変え方によって「不妊治療の成功率」は変わります。以下のような記事もあります。

40代前半の不妊治療成功率は「5割」 | プレジデントオンライン | PRESIDENT Online

*3:参考:厚生労働省児童福祉法等の一部を改正する法律案の概要

*4:参考:育児・介護休業法について |厚生労働省

*5:参考:特別養子縁組あっせん法案成立!赤ちゃんの虐待死ゼロに向けて重要すぎる一歩 | 駒崎弘樹公式サイト

育休を取りながら働く「半育休」と時短勤務(短時間勤務)の違い

こんにちは。2歳9ヶ月の娘がやたらとズボンを脱ぎたがる橋本です。寒くないの?

 

先日、「半育休とは何か?」というエントリーを書きました。

ysck-hashimoto.hateblo.jp

公開後、何人かの方から、「時短勤務(短時間勤務制度)とどう違うの?」というコメントをいただきました。

制度としては「半育休=基本休み」と「時短勤務=基本働く」という感じで明確に違いますが、短い時間働くという点では似ているといえば似ています。今回はそのあたりを説明していこうと思います。

 

時短勤務と半育休のざっくり比較表

結論ファーストということで、まずは最初に時短勤務と半育休を簡単に比較してしまいましょう。表にするとこんな感じです。 

  時短勤務 半育休
働く時間 1日の勤務時間を6時間まで短くできる 育休を取りながら、月に80時間まで働ける
働き方

・基本は勤務

・原則として、フルタイム勤務の時間が短くなっただけ
・会社と取り決めした日にち・時間で働く

・基本は休み(育児休業
・80時間の上限の中でどのように働くかは人による
利用可能期間 ・子どもが3歳になるまで利用可能
・ただし会社ごとにより柔軟な制度にもできる
・基本は子どもが1歳になるまで利用可能
・父・母で交代で育休取得する場合は1歳2ヶ月まで
・待機児童になった場合等はプラスで延長もある
利用条件(※) ・同一事業主で1年以上働いている
・1日の所定労働時間が6時間以下でない
・1週間に3日以上勤務している
・同一事業主で1年以上働いている
・子供が1歳になっても(育休期間が終了しても)雇用される予定
・1週間に3日以上勤務している
・期間雇用の場合、子供が1歳半年になるまで契約期間がある
収入 ・法律では特に定めなし
・8時間勤務→6時間勤務の変更であれば、基本給を6/8にすることが多い

育児休業給付金(おおよそ月給の2/3)+働いた分の給与

・ただし給付金と給与を合わせた額が育休前月給の80%を超えないよう給付金が調整される

社会保険料 雇用保険:特に変わらず
・厚生年金:子が3歳になるまでは、フルタイム(8時間)相当の基本給で納めたものとされる(実質一部免除)
雇用保険:働いた場合は、保険料納付必要あり
・厚生年金:保険料は原則免除。ただし働き方によっては免除とならない場合がある

※利用条件について、詳細は厚労省のサイト等を参考にされるのがよいと思います。

 それでは時短勤務、半育休それぞれについて補足します。 

短時間勤務制度(時短勤務)

法律の定めなど

短時間勤務制度について、育児・介護休業法では、3歳までの子どもを育てる労働者について、1日6時間労働の短時間勤務制度を事業者に義務付けています。ただし、働き手の希望によって、会社と調整し、6時間でなく7時間などの長さにすることも可能です。

細かく言うと、1日の所定の労働時間(通常8時間)から2時間引いた時間までをサポートしており、その範囲内であれば6時間でも7時間でも大丈夫、という感じです。

給与額については、法律では「8時間勤務と同じにせよ」とは言っていません(まあ、そりゃそうですよね)。6時間勤務であれば、8時間勤務の場合の給与に6/8をかけたくらいの給与になることが多いでしょう。

ただし、社会保険料(厚生年金)については、時短勤務になる前の給与で計算されるという制度があるため、収入が減っても将来の年金額には影響がない、という仕組みになっています。

(1)次世代育成支援の拡充を目的とし、子どもが3歳までの間、勤務時間短縮等の措置を受けて働き、それに伴って標準報酬月額が低下した場合、子どもが生まれる前の標準報酬月額に基づく年金額を受け取ることができる仕組みが設けられたものです。
 被保険者の申出に基づき、より高い従前の標準報酬月額をその期間の標準報酬月額とみなして年金額を計算します。養育期間中の報酬の低下が将来の年金額に影響しないようにするための措置です。

出典:養育期間の従前標準報酬月額のみなし措置|日本年金機構

 

時短勤務について法律で義務付けられているのは、子どもが3歳になるまでの間だけですが、あくまでこれは「どの会社も最低限これはやらないとダメ」ということなので、企業が独自に、より柔軟な就業規則の規定にすることはできます。

実際に、僕の奥さんの会社だと、子どもが小学校4年生に上がるまで時短勤務でOKという就業規則になっているそうです。

子育てする側としては、3歳になったら即フルタイムでOKになるかというと、必ずしもそんなことはなく、例えば子どもが小学生になるときの、いわゆる「小1の壁」*1を突破するために、時短勤務は大きな助けになるでしょう。

時短勤務の働き方

時短勤務は、フルタイム勤務から働く時間が短くなっただけなので、週に何日働くといったことはフルタイムと変わりません。週5勤務で40時間働いていたのが、30時間になる、という具合です。会社を休むときは普通に休暇を取ることも同じです。

 

半育休(育休を取りながら働く)

法律の定めなど

半育休も、規定されている法律は育児・介護休業法です。通常の育児休業と別に制度があるわけではなく、もともと、育休中に短時間働いてもOK(育児休業給付金が給付される)という仕組みになっています。

育休を取れるのは原則子どもが1歳になるまで。ただし父と母で交互に取れば1歳2ヶ月まで育休期間にできます。*2

その他、子どもが保育園に入れず待機児童になってしまうなどいくつかの条件を満たした場合、さらに延長することもできます。

収入については、育休期間に給付される育児休業給付金(育休前月給の67%)に加え、働いた分の給与が会社から支払われます。ただし、給付金と給与を両方受け取るためには、働く時間は月80時間までと定められています。また、給付金と給与を合わせた月あたりの金額が、育休前の月給の80%を超えると、超えた分について給付金が減額され、トータルで育休前月給の80%になるように調整されます。

社会保険料については、育休中は免除されていますが、半育休になると、雇用保険は免除の対象から外れます。また、厚生年金の保険料も、働き方によっては免除の対象外になる場合があります(詳しくは後述)ので、半育休を検討している場合は人事担当と相談するのがよいでしょう。

半育休の働き方

半育休は、上にも述べたとおり、育児休業なので、会社を休んでいる状態が基本です。その上で、「月80時間まで」という制限の中で、時間を調整して働きます。

考えられる働き方はいろいろありますが、例えば以下のようなパターン。

  1. 能動的に仕事はしないが、トラブル対応やどうしても本人に聞かないとわからないことが出てきた場合にサポートする
  2. 属人的な要素を排除できない仕事(例えば、記事を書く、登壇する、取材を受ける、などでしょうか)を育休中も行う
  3. 人員体制的に業務を他のメンバーに引き継ぐのが難しい場合に、引き継げなかった仕事を無理のない範囲で行う
  4. 業務情報のキャッチアップや、育休からの復帰準備として、1日2時間、あるいは週1日午前だけ、など定期的に勤務する

時間の制約がありますし、事前に職場と業務内容をちゃんとすり合わせする必要もありますが、想像より柔軟に働くことができる制度です。(もっとも、育休中なので家事・育児は大変ですが)

ただし、特に4のようなパターンだと、時間は短くても定常的に勤務しているものとみなされて、社会保険料の免除の対象外になる場合があるそうです。法の定めというよりも、年金機構などが判断することらしく、具体的なガイドラインなどは見つけられなかったので、必要に応じて人事担当や社労士の方に確認するのがよいでしょう。

特に育休からの復帰を目指して超短時間勤務するというのは、働き手にとってもよいと思うのですが、社会保険料の免除がなくなる=収入が減ることを理由に断念するというケースもありえることを考えると、このあたりはもう少し労働者にやさしくしてほしいなと思います。

表でざっくり比較(再掲)

つらつらと説明したところで、改めて比較表を貼っておきます。

  時短勤務 半育休
働く時間 1日の勤務時間を6時間まで短くできる 育休を取りながら、月に80時間まで働ける
働き方

・基本は勤務

・原則として、フルタイム勤務の時間が短くなっただけ
・会社と取り決めした日にち・時間で働く

・基本は休み(育児休業
・80時間の上限の中でどのように働くかは人による
利用可能期間 ・子どもが3歳になるまで利用可能
・ただし会社ごとにより柔軟な制度にもできる
・基本は子どもが1歳になるまで利用可能
・父・母で交代で育休取得する場合は1歳2ヶ月まで
・待機児童になった場合等はプラスで延長もある
利用条件(※) ・同一事業主で1年以上働いている
・1日の所定労働時間が6時間以下でない
・1週間に3日以上勤務している
・同一事業主で1年以上働いている
・子供が1歳になっても(育休期間が終了しても)雇用される予定
・1週間に3日以上勤務している
・期間雇用の場合、子供が1歳半年になるまで契約期間がある
収入 ・法律では特に定めなし
・8時間勤務→6時間勤務の変更であれば、基本給を6/8にすることが多い

育児休業給付金(おおよそ月給の2/3)+働いた分の給与

・ただし給付金と給与を合わせた額が育休前月給の80%を超えないよう給付金が調整される

社会保険料 雇用保険:特に変わらず
・厚生年金:子が3歳になるまでは、フルタイム(8時間)相当の基本給で納めたものとされる(実質一部免除)
雇用保険:働いた場合は、保険料納付必要あり
・厚生年金:保険料は原則免除。ただし働き方によっては免除とならない場合がある

※利用条件について、詳細は厚労省のサイト等を参考にされるのがよいと思います。

ほかにも「こういう観点ではどう違うの?」といった疑問などあれば、コメントやTwitter等でご意見・ご質問いただければと思います。 

 

半育休と時短勤務を連続的なものと考えてみる

半育休と時短勤務はそもそも休みか、働くかという点で土台が異なり、それゆえ各制度の制約なども違います。

ですが、「がっつり働く」から「育児に専念する」までをグラデーション的に考えると、連続した働き方のあり方と捉えることもできます。例えば、

育休が落ち着いてきたら、1日2時間在宅勤務にする

→慣れたら1日4時間(20営業日ならぎりぎり80時間以内)に時間を伸ばし、出社する日も増やす

→時短勤務で本格復帰

のようなこともできるわけです。

こういった場合、先の例のように、定期的な勤務とみなされ、社会保険料は免除にならない可能性がありますが、それでも、育児休業給付金をもらいつつ、育児にも時間をしっかり割きつつ、復帰に向けて少しずつ働くことができるのは、だいぶ助かるのではないでしょうか。

業務内容や勤怠の取り決めなど、職場と調整しなければいけないことも多いですが、企業の側としても、少しずつ業務を回したり、育休からのスムーズな復帰につなげられるというのはきっとありがたいはず

「一億総活躍」や「働き方改革」が叫ばれる昨今。こんな働き方も、広まってもよいのではないでしょうか。

 

参考:育児・介護休業法について |厚生労働省

※本記事は2017/01/11時点の情報を元に執筆しています。制度等のアップデートがある場合もあるのでご注意ください

※公共系のウェブサイト等、信頼できる情報リソースを参考に執筆していますが、万が一誤り等あれば、Twitter等でメッセージいただけますと幸いです。

 

※このブログの書き手と、なぜこのブログをやっているのか?という想いについてはこちらをご覧ください!

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*1:「小1の壁」についてはこちらをご参考ください:入学後にそびえ立つ「小1の壁」、ワーキングマザーはどう立ち向かう? - リクナビNEXTジャーナル

*2:「パパ・ママ育休プラス」という制度です。こちらのページがわかりやすいと思います:パパ・ママ育休プラスとは?(育児・介護休業法 H21年改正)

10年で男性育休は取りやすくなったのか?2004年の本『男性の育児休業』の問題提起と現状

こんにちは。まだ第二子、生まれていないのですが、早めに休みに入るので昨日ぬるりと最終出社日だった橋本です。

「男性の育休に関連した本とかあったら勉強になりそうだしブログのネタにもなるだろうな、いい本ないかな〜」と思っていたらそのものズバリな本がありました。

その名も『男性の育児休業』という本です。

男性の育児休業―社員のニーズ、会社のメリット (中公新書)

男性の育児休業―社員のニーズ、会社のメリット (中公新書)

 

ワークライフバランス関連の調査・研究をされている佐藤博樹さん、武石恵美子さんの本で、男性の育児休業取得状況やその背景、男性が育休を取れない・取らない理由、諸外国の男性の育児参画のための施策などが解説されています。これはなかなかよさそうだ!

……と思ったのですが、この本、刊行が2004年。10年以上前の本です。なんてこったい。

さすがにその内容をそのまま紹介しても、「で、今は?」みたいになってしまうので、今回は、本書の中で挙げられている「男性が育休を取れない・取らない理由」が、13年後の現在どうなっているのか(改善されているのか、それとも……)、見てみたいと思います。

ちょっと長くなってしまいましたが、どうかお付き合いください。

男性の育休取得率の推移

まず前提として、男性の育児休業取得率の推移はこんな感じです。内閣府男女共同参画局のサイトから。

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出典:I-3-8図 男性の育児休業取得率の推移 | 内閣府男女共同参画局

グラフは平成26年(2014年)度までですが、その後、平成27年度の取得率は2.65%と出ています。民間企業の取得率としては過去最高とのことですが、あまり変わらないですね。

今回取り上げている『男性の育児休業』が出版された平成16年(2004年)度は、0.55%というさらに低水準だったので、一応伸びはしていますが、全体としては相変わらず、「男性の育児休業取得率は低いまま」と言えるでしょう。

 

男性が育休を取らない理由

『男性の育児休業』(以下「本書」)では、男性の育休が増えない理由として、以下を挙げています。 

  • 制度の柔軟性が足りない
  • 所得保障が十分でない
  • 乳幼児あり夫婦共働きが少数派
  • 育休が就業規則に載っていない企業の存在
  • 古い男女役割の意識
  • 男性が育休を取りづらい職場の雰囲気
  • 長時間労働(特に子育て世代の男性)
  • 昇進への影響

それぞれの要素が、本書出版時の2004年と比べてどのようになっているか、見ていこうと思います。

制度の柔軟性が足りない

まずは育児休業の制度についてです。2004年時点での育児・介護休業法では、以下のような点が「制度の使いづらさ」として挙げられています。

  • 育児休業申し出は1人の親につき1回まで。分割取得できない
  • 専業主婦家庭では取得できない場合がある(労使協定でそのようにできる)

これが現在ではどのようになったかというと、こうなっています。

  • 育休の分割取得(産後8週間以内の育休+別のタイミングでもう1回)が可能になった
  • 専業主婦家庭でも男性の育休取得が法律でOKになった

分割取得について少し解説すると、男性の育休タイミングはいろいろありますが、産後の母体保護期間(産後8週間)と、妻の仕事復帰タイミング、子どもの保育園入園(慣らし保育)あたりが、妻側からのニーズが高いところ。(僕が会社で耳にした限り、ですが)

法改正によって、産後に8週間ほど育休を取り、期間をおいて、妻の仕事復帰タイミングでまた短期間休む、ということができるようになったということですね。これが平成21年の法改正、いわゆる「パパ・ママ育休プラス」の目玉のひとつです。 

 

制度については、良い方向にアップデートされたといえるのではないでしょうか。

ただし、分割取得については、「連続した日を休業する」ことが必要なので、本書でもうひとつ言及されていた、「日単位の育休」はまだ取れません。例えば、毎週水曜日は育休にして、家庭に専念する、という考え方もありだと思うのですが、これが育休の制度上はまだできません。このあたりは今後改善されるとよいなと思います。

所得保障が十分でない

育児休業中の所得保障として、雇用保険から育児休業給付金が給付されますが、2004年時点では、月給に対する給付金の割合は、40%でした。

この給付金比率がどうなったかというと、現在は、67%。半分以下から、3分の2まで上がりました。これは、制度的にはけっこう大きな改善ではないでしょうか。

また、前回の記事でも触れたように、半育休で一部業務を担当し、会社から給与ももらうことで、最大で月給の80%まで収入を得ることができます(※)。

夫のほうが収入が多く、育休中の家計が苦しいから……というのは男性が育休を取らない理由としてよく上がるものですが、上記内容を知れば、イメージが変わるのではないかと思います。

※働き方によって社会保険料の免除有無が変わる場合があります

乳幼児あり夫婦共働きが少数派

ここまでが、法制度に関連した課題でしたが、ここからは、風土やライフスタイルの観点です。

まずは、「意外と、乳幼児を育てる共働き家庭って少数派」ということ。どういうことかというと、

妊娠を機に妻は退職→育児に専念できる→夫の育休は不要と考える

というケースが多いのです。

具体的には、2002年の厚労省調査によると、出産前に働いていた女性のうち67%が出産後では無職の状態でした。

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出典:第1回21世紀出生児縦断調査の概要:母の就労状況

 

子どもが生まれる前は共働きでも、出産を機に女性が仕事を辞めるというケースが多く、「だったら育児に専念できるよね、夫が休む必要ないよね」という雰囲気になるというわけです。

この傾向が、その後どうなっているかというと、2010年の時点で、もともと働いていて出産を機に退職した女性の割合は54%。

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出典:第2回21世紀出生時縦断調査結果の概要 

 

多少、出産しても働き続ける人の割合は増えましたが、まだまだ「出産→退職」のケースは多いですね。

育休が就業規則に載っていない企業の存在

育児休業は法律上、会社の就業規則にその記載がなくても、取得することができます。労働者から育休の申し出が会った場合、 特別な事情がない限り雇用主はそれを拒むことはできません。

なのですが、男女ともに、就業規則に書かれていないと育休は取れない、と考える人も多く、それが育休取得の妨げになっている、と本書では言います。

正直「え、育休のことが就業規則に書かれてない会社なんてあるの?」と思ったのですが、こちらも、厚労省の調査によると、意外とあります。

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出典:平成27年度雇用均等基本調査:事業所結果

 

人数規模30人以上の事業所では約8%、5人以上だと約27%の事業所が、就業規則育児休業制度の規定がないという状況です。10年前に比べると、その割合は減っている(記載のある会社が増えてきている)のですが、それでもこの数字は意外でした。

いまだに、小さい会社だと、会社として「社員の育休」を考えるところまで至らない場合も多いということなのかもしれません。

古い男女役割の意識

次に、仕事や家庭についての男女役割の意識についてです。

内閣府の調査によると、「夫は外で働き、妻は家庭を守るべきである」という考えに対する意識の変化はこんな感じです。

 

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内閣府男女共同参画社会に関する世論調査より筆者作成

赤いほうが性役割分担に賛成、青いほうが反対です。

10年前から比べて、だんだんと「男は仕事、女は家庭」という考え方の人は減ってきていますが、まだ40%程度の人がそんな感じ。これはちょっとショックでした。化石かよ。

男性育休についても、「男が育児で休むなんて……」という人が職場に多ければ、育休は取りづらいでしょう。 

男性が育休を取りづらい職場の雰囲気

こういった、変わらない意識や古い価値観が積み重なって、男性が育休を取りづらい職場の雰囲気が生まれます。

本書で取り上げられている2002年の調査(ニッセイ基礎研究所)では、男性が育休を取ることについて、職場の雰囲気はどうかというアンケートに対して、「非常に取得しにくい」という回答が54.5%、「どちらかといえば取得しにくい」が21.8%。合計すると、取得しにくいという回答が76.3%でした。

これが10年経ってどうなったでしょうか。

少し前ですが、2013年のライフネット生命の調査では、こんな結果が出ています。

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出典:育児休業に関する意識調査 | 生命保険・医療保険のライフネット生命

「男性が育児休業を取得できる雰囲気がある」という質問に「あまりあてはまらない」「全くあてはまらない」と回答した割合が76.4%。ぜ、全然変わっていない……

以前の記事でも取り上げましたが、男性が育休を取らない理由の第一位は、「職場の雰囲気」です。これはけっこういろんな調査で上がっています。一例はユーキャンのもの。

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出典:男性育児休暇取得に関する意識調査結果!|【ユーキャン】 

 

10年経っても、男性が育児休業を取りづらい職場の雰囲気は変わっていません。

 

長時間労働(特に子育て世代の男性)

そもそも子育て世代の男性の労働時間が長く、業務繁忙・引き継ぎ困難というのも本書で挙げられている要素のひとつ。

昨年厚労省が出した過労死白書にある、性別・年代別の労働時間の推移を見ると、週に60時間以上働いている(=だいたい平日4時間残業、あるいは土日も出勤)人の割合で、30〜40代男性がぐんと高くなっています。

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ただし、60時間以上働いている人の割合自体は、下がってきつつあります。まだまだ他国に比べると、日本は長時間労働の傾向がありますが、長時間労働については、昨年の電通の事件などもあり、注目が集まっているところですし、今後改善していくことを期待したいですね。 

昇進への影響

最後に、男性が育児休業を取得して、昇進に影響する(評価が下がる)のでは、という懸念についてです。

2002年のニッセイ基礎研究所の調査では、社員として働いている人のアンケートで、育休を取ったことが評価にどう影響すると認識しているかの回答が以下のとおりでした。

  • 評価に影響しない:19.4%
  • 「どのような評価につながるのか不明確」:55.3%
  • マイナス評価につながる:24.9%

いっぽうで、同じ2002年、企業側に対する調査で、育児休業の取得が昇進・昇給にどう影響するかというアンケートに対しては、「影響がない」「復帰直後は遅れるがいずれ同じ水準になり得る」と回答した企業が70%以上でした。

評価へのマイナス影響はない(挽回可能)が、育休を取る社員側で、ちゃんと把握している人が少ない、という見方ができるかと思います。

ここについては、その後同じような観点の調査結果などを見つけられなかったのですが、たぶん、あまり変わっていないのではないでしょうか。

 

もっとも、育休中はフルタイムで働かないわけですから、業務の成果をもとにした評価については、育休中の期間について言えば、育休を取らない人と育休を取った人で差が出るのは当たり前だと思います。(ただし、育休取得を理由に評価を「下げる」ことは不利益取扱いにあたるので法律違反です)

この点については、企業が社員を評価することを考えればどうしようもないことなので、育休を取る側が割り切るしかないでしょう。

ちなみに僕自身は、そもそも自分の人生における時間の優先順位として、この時期については、働くよりも育休を取ることが大事だ、と考えているので、あまり気にしていません。

 

まとめると

さて、やたら長くなってしまいましたが、2004年の本『男性の育児休業』で挙げられている、男性育休の取得しづらさの要因と、それが10年経ってどのように変わったか、超ざっくりまとめるとこんな感じです。

  • 制度の柔軟性が足りない → 分割取得可能になるなど、着実に改善されている
  • 所得保障が十分でない → 育休給付金率が40%→67%に。着実に改善されている
  • 乳幼児あり夫婦共働きが少数派 → 出産を機に退職する女性の割合は10%ほど減ったがまだ50%くらいは退職する
  • 育休が就業規則に載っていない企業の存在 → 就業規則に育休の記載がない企業が5〜10%減った
  • 古い男女役割の意識 → まだ40%くらいの人が「男は仕事、女は家庭」の考え方を支持
  • 男性が育休を取りづらい職場の雰囲気 → 全然変わっていない
  • 長時間労働(特に子育て世代の男性) → 労働時間自体は短くなってきているが、子育て世代が一番忙しいのは変わらず
  • 昇進への影響 → 企業が社員を評価する仕組みの上ではなんともしがたい

青字はプラス要素、赤字は「まだダメじゃん」要素です。

ひとことで言うと、「制度は整ってきているが、まだまだ風土が追いつかない」という感じでしょうか。

育児休業の制度や給付金率などは、改善されてきており、国もそれを積極的に広報していますが、実際に働く男性が育休を取れるかというと、職場の雰囲気、言い換えれば風土がまだまだ阻害要因になっています。風土は、価値観や意識から形づくられるもの。ワーク・ライフ・バランスや男女の働き方など、人の考え方が変わっていかなければ、風土も変わりません。厚労省がすすめている「イクメンプロジェクト」などは、まさにこの点を改善しようとしているのだと思います。

個人個人でも、働き方に関するニュースや最新の情報をキャッチアップしたり、SNSなどを使ってそれをシェアしたり、意見を述べたりすることで、風土や空気を作っていくことはできるでしょう。

僕も微力ながら、うぇいうぇいやっていきたいと思います。

ではでは。

 

男性の育児休業―社員のニーズ、会社のメリット (中公新書)

男性の育児休業―社員のニーズ、会社のメリット (中公新書)