非正規雇用でも育児休業は取れる、けれど
こんにちは。橋本です。
先日、育休給付金は雇用保険から出てるから、「会社を休業しているのに給料をもらってずるい」という批判はおかしいよ、というエントリを書きました。
けっこう、Twitterでシェアされて読んでいただいたのですが、リアクションの中にこんなツイートがありました。
育休自体は大賛成なんだけど、この仕組みから非正規雇用は事実上排除されてる。その立場からは「働かずに給料もらうなんてずるい」としかいいようがない。 / “「育休?働かずに…” https://t.co/JEMQzyKYA7 #社会 #経済 #生活 #育児 #労働 #社会保障 #雇用
— うさたろう (@usataro1999) 2018年1月7日
非正規雇用じゃそうもいかないよ、というご意見だと思います。
実際に制度上どうかというと、育児休業を取ること自体は、非正規雇用でもできます。しかも、2017年(昨年です)から、法律上、非正規雇用の方の育休は取りやすくなっています。
しかし、上記ツイートにあるように、「事実上取れない」という環境もおそらくあるでしょう。
非正規雇用でも、育児休業は取れる
まず結論として、育児・介護休業法上、非正規雇用(契約社員や派遣社員など)であっても、育児休業を取得し、育児休業給付金を受給することはできます。
育休の取得条件は以下のとおりです。
(1)同一の事業主に引き続き1年以上雇用されていること
(2)子が1歳6か月に達する日までに、労働契約(更新される場合には、更新後の
契約)の期間が満了することが明らかでないこと
実は、以前はもう少し条件が厳しかったのですが、2017年1月から育児・介護休業法が改正されて、育児休業が取りやすくなりました。
詳細はこちら。
しかし、制度さえあればよいわけではない
上に書いてある内容が法律上の決まりなので、制度上は、条件を満たしていれば非正規雇用でも育児休業は取れます。
しかし、実態としてどうかというと、こんな記事がありました。
非正規雇用労働者がどれだけ育児休業を取得しているのか。育児休業給付金の初回受給者数を見ると、2015年度の受給者数全体は30万3143人となる。そのなかでも非正規労働を指す「期間雇用者」(期間を定めて雇用される労働者で有期契約労働者とも呼ばれる)の取得者数は、2005年度の2242人から年々増えてはいるものの、2015年度で1万731人しかいない。育休給付金を受給している期間雇用者の割合は、全体の3.5%程度。ここから事実上、非正社員では育児休業を取ることができない状態だということが分かる。
この数字は2015年のもの。2017年の法改正を経ておそらく多少は非正規雇用での育休取得も増えているでしょう。しかし、どれくらい増えているかはまだデータがないのでわかりません。
育児休業に関しては、育休中の収入が給料ではないこと、専業主婦家庭でも育休が取れることなど、実は充実している制度も、あまり知られていません。
そういう状況からするとやはり、2017年法改正はおろか「派遣社員や契約社員は育児休業の対象外」と思っている人も多いかもしれません。
大切なのは制度より風土
制度があっても、知られていない、あるいは使える環境にない。それは例えば、男性の育休も似たような話です。
男性でも育休が取れる、ということを知らない人はだいぶ少なくなったと思いますが、それでも、会社の環境や雰囲気として、男性が育休を取ることのハードルはまだまだ高く、それが2016年の取得率3%強という数字にあらわれています。
大事なのは、制度より風土。会社として、組織として、働くメンバーのライフの変化を包摂(包み込む)していこうという、経営陣や同僚の心持ちがなにより重要です。
このあたりは、ファザーリング・ジャパンさんがやっている「イクボス宣言」など、組織のキーマンである中間管理職を啓蒙する取り組みが今後さらに進んでいけば、だんだんと変わってくるのではないかと思います。
今後は、副業の推進などもあり、働き方がさらに多様化していくはずです。そうすると、ひとつの会社の正社員だけをずっとやっています、という人は減っていき、非正規雇用や、あるいはフリーランスや業務委託的な働き方が増えていくでしょう。
「非正規雇用だし、正社員とは違うでしょ」ではなく、時代の変化とともにやってくる働き方の変化に、育児(や介護)をめぐる社会システムも柔軟に対応していったほうがみんな幸せになれるのではないでしょうか。
ではでは。
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