パパ半育休からの時短なう

育児休業を取りながら働く半育休の話を中心に、育休の制度や子育てについてつらつらと。

育児休業を取りながら働く「半育休」の課題

こんにちは。橋本です。

育休を取りながら一部働く「半育休」、このブログでも推していて、柔軟な育児と仕事の両立のさせ方のひとつの選択肢としてとても有効だと思っています。(けっこう「ブログ参考になりました」というお声がけをいただくことも増えました)

ただし、実は、「誰もが」「どんな業務でも」この半育休という選択肢を使えるわけではないんです。今回はそのあたり、半育休という制度の、現状の課題について説明します。

 

f:id:ysck_hashimoto:20180323062138j:plain

前提:半育休とは?

 

簡単に「半育休とは」をおさらいしておくと、半育休とは、育児休業中に一部働くこと。現在の育児休業の制度上、最大で月80時間までの就労は可能となっており、その枠内で就労することです。(ちなみに「半育休」というのは特に正式な制度名とかではなく、通称です)

育児休業給付金を受け取りながら、働いた分の給与を会社から受け取ることができます。

そのため、

 

・育休に入るにあたってどうしても引き継げなかった部分については、育休中も継続して担当することができる
育児休業給付金にプラスして給与も受け取れるので、育休中の収入がアップする

 

といったメリットがあります。実際に僕も第二子誕生時に3ヶ月半の半育休を実践し、育児をメインでしつつ、リモートで、あるいはオフィスに出勤してちょこちょこ働くという生活を送っていました。

 

半育休には、制約がある

 

働き方の選択肢が広がる半育休ですが、現状では、誰もが、どんな業務でも半育休できるというわけではありません。

というのも、育児休業中に働いてOKとされるのは、原則として「どうしてもその人が突発的・あるいは属人的な理由で業務しなければならない場合」のみなのです。国が出している資料を見るとこんな感じ。

 

f:id:ysck_hashimoto:20180323061333p:plain

(引用元:「育児休業中の就労」について

 

具体的には、「単純に業務を減らして週2日だけ出勤して働きます、1日8時間で月10日までなら大丈夫ですよね」みたいなケースだと「育児休業じゃなくて就労してるよね」とみなされる可能性があります。

意図としては、「本人はしっかり育児休業に入りたいのに、雇用側の都合で短時間働かされる」という状況を防ぐため、と思われます。まあたしかに、大事な視点です。

 

しかし、いっぽうでこの制約はとてももったいない。というのも、半育休を実践しやすくなることで、以下のようなメリットがあるからです。

 

(1)男性の育休の取りやすさがぐっと上がる
(2)育休からの復帰の不安が減る

 

それぞれご説明します。

 

(1)男性の育休の取りやすさがぐっと上がる

女性が育休を取ることは今の日本ではだいぶ普通のことになってきましたが、男性の育休取得率はいまだ約3%(2016年実績)。全然浸透していません。

男性が育休を取れない理由はいろいろありますが、そのひとつとして「代替要員がいない」ことが、調査などで回答に上がります。

日経DUALの調査だとこんな感じ。

 

f:id:ysck_hashimoto:20180323061501p:plain

(引用元:男性が育休を取れない理由1位は「代替要員がいない」 | 日経DUAL

 

またユーキャンの調査結果でも同じように回答の上位に「仕事を引き継げる人がいない」というのが来ています。

 

f:id:ysck_hashimoto:20180323061552p:plain

(引用元:男性育児休暇取得に関する意識調査結果!|【ユーキャン】

 

半育休が取りやすくなり、普及すれば、「代替要員が置けない部分については育休中も引き続き担当する」という選択肢がとれます*1

 

そうなると育休を取るための高いハードルがひとつ減ります。

また、経済的な負担も、半育休をカジュアルに使えるようになれば、収入がアップするので、家計の面でもいくらか不安が減るでしょう。

ysck-hashimoto.hateblo.jp

 


(2)育休からの復帰の不安が減る

もうひとつの半育休のメリットは、男性に限ったことではありません。それは、育休からの復帰がしやすくなるということです。

 

実際、育休からの職場復帰に不安を覚えている人は少なくありません。

アデコの調査によれば、ワーキングマザーの70%以上が、育休からの仕事復帰時に「心配・不安あり」と回答しています。

 

f:id:ysck_hashimoto:20180323061725p:plain

f:id:ysck_hashimoto:20180323062532p:plain

 
(引用元:アンケート調査レポート | アデコ株式会社

 

実際、育休中は「仕事的なやり取り」はガクンと減り、家庭で家事育児に向き合う時間がほとんど。ビジネスコミュニケーション的な頭の使い方ができなくなっていて愕然とした、なんて話も聞きます。

そんな状況で、「仕事ゼロ」の状況からフルタイム(あるいは時短勤務)で日中がっつり仕事をしている環境に復帰するというのは、やはりハードルが高い。

 

であれば、本格復帰の前に、1日に数時間を週何日、といった、超時短勤務的な働き方ができたらいいと思いませんか? 在宅で社内のメールやイントラネットを見るだけでもいいし、「いつごろからこんなタスクを担当してもらう予定だから、関連資料を見ておいてね」みたいな感じでゆっくりとキャッチアップしていけたら、職場復帰もだいぶやりやすくなるのではないでしょうか。

 

まさにこういった働き方は、「一時的・臨時的」な業務のみOKという今の育休(半育休)の制度だとできないことになっています。これは、もったいないと思うのです。


さいごに

今の制度上では制約がある半育休ですが、では実際に、「この業務は一時的・臨時的なものではないから育児休業とみなせません」とNGを出された事例があったのか?というと、正直そこはわかりません。

 

ネットを見ていると、以下のような見解もあり、「実際にそこまで厳しくない」という可能性もあるのかも、という感じです。

 

まず、ハローワークですが、実務上、月80時間以下で育児休業給付金を申請すれば、申請はほぼ受理されると考えてよいでしょう。理論上は、育児休業中の臨時勤務(育児休業継続中)であるのか、職場復帰後の時短勤務(育児休業終了)であるのかは問題となるのですが、実際には、本人が申し出を行い、会社も育児休業中と認めたからこそ提出された支給申請書があるわけですので、ハローワークから「本当に育児休業中なのか?時短勤務ではないのか?」との確認が入る可能性は低いと考えます。

(引用元:育児休業期間中の就業について - 『日本の人事部』

 

とはいえ、こちらのコメントには「管轄ハローワークや健保組合によっては、これと異なる見解で育児休業終了の判断をする可能性もあります。」ということも添えられており、一概にどうと言える感じではありません。

いずれにせよ、半育休を検討するにあたって、まず取得者の立場としては、ちゃんと人事・総務など育児休業関連の担当の人とすりあわせておくことは必要です。

 

今はまだ事例は多くありませんが、これから半育休を取る人が増えていって、「なんかこの制約、変じゃない?」となっていけば良いなあと思います。

ではでは。

 

■このブログと筆者の説明はこちら

ysck-hashimoto.hateblo.jp

 

Twitterもやってます。よろしければフォローお願いいたします!

twitter.com

*1:もちろん本来はちゃんと体制づくりをしたほうがいいですが、100点満点の体制づくりができないと育休が取れない、というのも現実的ではないでしょうし、選択肢の幅は広いほうが良いと思います。