パパ半育休からの時短なう

育児休業を取りながら働く半育休の話を中心に、育休の制度や子育てについてつらつらと。

専業主婦家庭の夫も、育児休業は取れるという話

こんにちは。橋本です。

先日、こんなニュースがありました。

 

wezz-y.com

 

産休育休を連続で6年取っているNHKのアナウンサーの方に、「仕事してないのにそんなに長い期間受信料から給与が払われるってどうなの?」みたいな批判があり、話題になりました。

 

この批判はベースが間違っていて、産休は健康保険、育休は雇用保険から給付金が支払われるので、「いや、給与じゃないっすよ」で終わりな話。

しかしTwitterなどではこの批判に同調する人もいたらしく、そうか、産休育休中は給与は支払われないということを知らない人もまだまだ多いのか・・・と思いました。

 

 

 こういう、「育休を取った当事者にとっては普通なんだけど、そうでない人には勘違いされている」ことって、けっこうあると思うんですよね。

今回はそんなことのひとつ(じゃないかと僕が思ってる)、「専業主婦家庭の夫も育児休業は取れるよ」ということを紹介したいと思います。

 

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育児・介護休業法上での、専業主婦家庭の夫の育休

 育児・介護休業法の法律条文を見るとこんな感じに書いてあります。

 

第五条 労働者は、その養育する一歳に満たない子について、その事業主に申し出ることにより、育児休業をすることができる。ただし、期間を定めて雇用される者にあっては、次の各号のいずれにも該当するものに限り、当該申出をすることができる。

(以下略)

 

 契約社員など、期間を定めて雇用される労働者については、育休復帰後も継続雇用の予定があることなど、多少の条件があるのですが、それ以外の条件は特にありません。

 男性であろうが女性であろうが関係なく育児休業は取れますし、男性の場合、配偶者が働いていようが専業主婦であろうが関係なく育児休業は取れます。

 

なお、同法では、「会社の労使協定で育休取得の除外条件をつけることができる」ということも定められていて、昔は会社ごとに、「専業主婦家庭の夫は労使協定で育休取得不可とする」ことができました。

しかし、平成21年の法改正で、その制限をもうけることが禁じられました。

 

(3)労使協定による専業主婦(夫)取得除外規定の廃止

○ 労使協定を定めることにより、配偶者が専業主婦(夫)である場合等、常態として子を養育することができる労働者からの育児休業取得の申出を事業主が拒むことを可能としている制度を廃止する。

  

参考:育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律及び雇用保険法の一部を改正する法律の概要

 

ということで、結論としては、現状、育児・介護休業法では、専業主婦家庭の夫の育休取得を妨げるものはなにもないということになります。

 

育児休業給付金の給付における、専業主婦家庭の夫

会社を休業することはできても、育児休業給付金がもらえないとなればとても困りますが、そういうこともありません。

 

育児休業給付金を受ける条件は、ざっくり言うと以下のとおり。

 

雇用保険に加入している

・それなりの期間勤務している

 

雇用保険はわかりやすいと思いますが、期間については、かなり大雑把にまとめると、その会社で働いて1年以上経っていればOKという感じです。*1

 

ここでも、男女差はないし、配偶者の就労状況も関係ありません。

 ですので、専業主婦家庭の夫が育休を取って、育児休業給付金を受け取ることも全く問題ない、と言えます。

そもそも妻が専業主婦なのに夫が育休とる必要あるの?という意見に対して

 制度上は全く問題ないということは説明しましたが、そもそも、「妻が働いてないんだから育児は任せればいいじゃん、なんで夫が育休取る必要があるの?」と思う方もいるかもしれません。

 

そういう方にはぜひ「産後うつ」とか「産褥期」とかでググって10個くらい記事を読んでいただきたいですが、とにかく、産後は

 

・出産という大イベントでそもそも女性は体力がものすごく下がっている

・しかし家族が増え、家事タスクも大幅に増えてやることが多くなる

・さらに母体におけるホルモンバランスが出産を機に大きく変化するので情緒面でリスクが高まる

 

と、たいへんづくめで、妻1人で家のことをやるなんて無理ゲーです。

 

そういった問題を解決するために里帰り出産という手段があったわけですが、実家が遠かったり、二人目出産だったりすればハードルが上がりますし、そもそも里帰りしてもせいぜい1〜2ヶ月で戻ってくるわけで、その後待っているのはやっぱり無理ゲーモードだった・・・というケースも少なくないでしょう。

 

そこで、夫が育児の立ち上がりの時期に育休を取って妻をサポートするというのが大事になってくるわけです。

 

・・・というか、ここまで書いた産後の大変さって、専業主婦でもワーキングマザーでも変わりませんよね。(共働きでも、妻は育休中なわけですから)

共働き家庭だろうが専業主婦家庭だろうが関係なく、夫が育休を取ることは家族のために非常に重要なことなのです。

喉元過ぎれば熱さを忘れる、ではいけない

最初にも書きましたが、こういった話って育休を取った当事者は「そうだよね、知ってる」というケースが多いと思います。

 

しかしこれから子どもを授かり、子育てしていこうとする夫婦が、専業主婦とサラリーマン、という世帯だったりすると、夫が育休を取るなんて発想が、そもそもどこからも出てこない可能性もあります。(ちなみに僕の前職も、男性比率が多く、ほとんどの方が奥さんは専業主婦で、男性が育休、なんて発想がある人は周りにはほぼいませんでした)

そんな人たちが、知らずに出産・育児に突入して無理ゲー状態になるのはやっぱりよくない。

 

経験者・当事者が、なんらかのかたちで、「育休の給付金は給与じゃないから後ろ指さされる理由はない」「専業主婦家庭のパパだって育休は取れる」みたいなことを、繰り返し繰り返し伝えていくことが大事なのではないかと思います。

 

SNSでも、会社の会話でも、ぜひ積極的に話題にしていきましょう。

ではでは。

 

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*1:もう少し正確に言うと、育休開始時点からさかのぼった2年間で、月の半分以上出勤している月が12ヶ月以上であれば受給条件を満たす、という感じです。詳細はこちら。

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