パパ半育休からの時短なう

育児休業を取りながら働く半育休の話を中心に、育休の制度や子育てについてつらつらと。

「妊娠・出産を機に退職」、迷ってるなら「辞めない」ほうがいい

こんにちは。橋本です。

先日こんなツイートを目にしました。

 

 

これは僕も同意です。そんなわけで今回は「妊娠・出産を機に退職」について書きます。

 

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「妊娠・出産を機に退職」は、よく考えて

内閣府の資料によると、女性の第一子出産後の就業継続率は約50%強。

つまり、半分弱の女性は、妊娠・出産を機に仕事を辞めているというのが現在の日本の状況です。

 

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出典:http://wwwa.cao.go.jp/wlb/government/top/hyouka/k_39/pdf/ss1.pdf


正社員に限ってみても、就労継続率は約70%、3割ほどの女性が仕事をやめています。

 

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出典:http://wwwa.cao.go.jp/wlb/government/top/hyouka/k_39/pdf/ss1.pdf

 


もちろん、仕事と子育てについての考え方は人それぞれですから、子どもができたら仕事を続けるのではなく子育てに専念する、という考え方だって全然アリです。

でも、「仕事を続けたい気持ちもなくはないんだけど、子育てしながら働くのは大変そうだし、いったん仕事はやめて、落ち着いたらまた考えようかな」という方もいるのではないでしょうか。

そういう方には「辞めないで、育休を取って働き続けたほうがいいよ」と言いたいです。その理由を説明します。

 

理由その1:一度退職すると、生涯賃金が下がる

最大の理由は、妊娠や出産を機に退職した場合、その後復職したとしても、勤め続けていた場合に比べて、収入がぐっと下がるということです。

 

「第4回(2016)子育て世帯全国調査」によると、子育て中の母親について、就業継続していた場合とそうでない場合で、働く待遇がだいぶ違っています。

具体的には、こんな感じです。

 

 

 

就業継続

一度退職後、再就職

構成比

41.8%

58.2%

平均年収(税込み、万円)

286.5

138.2

 うち、正社員平均年収

396.7

264.1

正社員割合

57.9%

19.7%


出典:http://www.jil.go.jp/press/documents/20170914.pdf

 

働き続けた場合の年収は約286.5万円なのに対して、一度退職して再就職した場合は138.2万円と、約半分。

また、正社員で働く割合も大きく開きが出ており、さらには、同じく正社員として働いている人の平均年収を比べても、就業を継続していた人のほうがずっと高くなっています。

もちろん、一度退職して再就職している人のほうが、育児を優先させやすいパートや時短勤務で働いている可能性が高い、といったデータの相関もあるかもしれませんが、それを差し引いても、全体で見たときの数字の差は大きく、傾向として「一度退職して再就職すると収入は大きく下がる」ということはいえると思います。

 

理由その2:ずっと夫が稼ぎ続けられるとは限らない

「稼ぐのは夫がやるから大丈夫」と言う人もいるかもしれません。でも、その体制が本当にずっと続くかどうかは、誰も保証できません。

 

同じく「第4回(2016)子育て世帯全国調査」のデータを見ると、初婚が破綻(離婚)する可能性は15.5%*1。普通に離婚はあり得ることです。たぶん、身の回りにも「子どもがいる状態で離婚した」という人、思いつくのではないでしょうか。

そんなときに、それまで働いていなかったとしたら大変です。

逆に、本当は離婚したほうが自分(と子ども)のために良いのに、働いていないから離婚できない、というケースもあるでしょう。そういう状況は非常につらいと思います。

 

また、離婚というシチュエーションでなくても、夫が職を失ったり、あるいは非常につらいことですが事故や病気で亡くなったりということだってありえます。もちろん、各種手当など法制度の支援を受けることもできますが、夫と妻の両方がある程度安定した収入を得ておくということは非常に大事です。

 

理由その3:再就職しようとしたときに保育園に入れるかわからない

仕事を辞めた状態から再就職しようとしたら、基本的には子どもを保育園に預けなければなりません。

ここで立ちはだかるのが待機児童問題です。都市部では、保育園に入りたいと思ったときにすんなり入れるかというとけっこう厳しい。定員以上の希望者がいる場合、利用希望者の中で優先順位がつけられますが、この優先順位は基本的に「フルタイムで働いている人が最優先」です。

 

再就職の求職中でも、保育園の利用要件にはあたるのですが、保育園が決まっていない→雇用してもらえない→優先順位が低いままでやっぱり保育園に入れない、という悪循環が発生しているのはよく聞きますよね。

もちろん本来的には、国と自治体が待機児童問題を解決して、保育園を利用しやすくすべきではありますが、いっぽうで、幼児教育無償化でなおいっそう待機児童が増えるのではとも言われています。自治体にもよりますが、短期的には解決の見込みは立っていません。

保育園の利用しやすさという観点でも、妊娠・出産で退職すると厳しい、という状況はしばらく続いてしまいそうです。

 

理由その4:育児休業を取れば給付金がもらえる

暗い話が続いたのでポジティブなインセンティブに目を向けると、何より、育休を取って給付金を受け取ることができ、子どもが生まれて育児にお金がかかり始める時期に、収入を増やすことができます。

先日記事に書いたように、育休中の収入は会社からの給与ではなく、雇用保険からの育児休業給付金です。給付金を受け取ることに気兼ねなんてしなくていいんです。

 

ysck-hashimoto.hateblo.jp

 

また、収入が夫の給与だけになって、そこから妻がどれくらいお金を使ってよいか、みたいな構図になると、家庭内の役割がよりいっそう固定化されかねません。金額が小さくても、妻名義の収入があったほうがよいでしょう。

 

理由その5:夫婦で仕事と育児への姿勢が自律的になる

育休を取っていても、退職しても、「妻が仕事をしていない」という状況は変わりませんが、退職して専業主婦になったとたんに、夫の家事や育児に対するコミット度合いが下がる、という可能性はおそらくけっこう高いと思います。

育児は妻がやってくれるのね、という夫のマインドを作る可能性があるというのはまあまあのリスクです。そうすると結局、「そろそろ復帰しようかな」となったときに、夫が妻の家事育児に依存していてうまくいかない、なんてことも。

育休を取って、「いずれ仕事に復帰する」という、一種のスタンバイ状態を作ったほうが、復帰を支えるために夫も家事育児をしっかりやらなければ、というマインドを作りやすいのではないでしょうか。

 

まとめ

そんなわけで、改めて結論を述べると、妊娠・出産を機に仕事を辞めるかどうか、悩んでいるのであれば、なるべく育休を取って、勤め続けたほうがよいです。

 

もちろん、妊娠出産は個人差もありますから、場合によっては「とても仕事は続けられなそうだ・・・」と感じることもあると思います。

でも、選択肢は「そのとき退職する」だけではありません。育休後復帰してから、時短勤務制度を使って負担を減らしつつ、子育てと仕事を両立していけるか見極めていくということだってできます。やっぱり両立が難しそうだ、となれば、転職を検討したり、そのときに退職したり、という風に考えてもよいですよね。

 

育休は、母体の回復と育児の体制づくりのための時期であると同時に、家庭としてどのように働くことと日々の生活を両立させていくかを考える時期でもあります。子育てだってせいぜい20年です。人生100年時代、どう生きていくか、パートナーと一緒にしっかり考えてみてはいかがでしょうか。

ではでは。

 

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*1:データからは、子どもがいる状態での離婚かどうかはわからないですが。