パパ半育休からの時短なう

育児休業を取りながら働く半育休の話を中心に、育休の制度や子育てについてつらつらと。

組織を強くする手段としての『パパの育児休業』

こんにちは。橋本です。

育児休業を取りやすくする、みたいな、企業の子育て支援とかワークライフバランスの施策って、まだまだ「福利厚生、社員にやさしい会社」というイメージを持っている方も多いと思うんですが、実はそうではないんですよね。

育休を取った社員個人にとってどんなメリットがあるかというのも大事なことですが、実はその人が所属する会社、組織にとっても大きな意義があります。

先日『パパの育児休業』という本を読んだら、まさにそういうことがバシっと書いてあったのでご紹介します。

 

 

 

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社員が育児休業を取ることは、組織を強くする

『パパの育児休業』では、(特に男性の)社員が育休を取ることについて、その意義を以下のように説明しています。

 

なぜ育児休業を推しているのでしょうか。その最大の理由はもちろん家族の笑顔につながるからこそではありますが、その前段階においては「育児休業を取得させた方が、企業(組織)が強くなる」からです。

 

どういうことか、本書の内容をざっくり紹介すると、こんな感じになります。

 

・現在の日本では、少子化が進み、労働力が不足する状態になっている
・働き手に会社を選んでもらい、長く勤めてもらうためのポイントは、給与よりも働きやすさ
・組織の働きやすさを高めるための施策として、男性社員の育児休業を推進することが有効

 

実際に、三菱UFJリサーチ&コンサルティングによる「2017年度の新入社員意識調査アンケート結果」によれば、会社に対して働きやすさを求める人が近年多くなっていることがわかります。

 

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出典: http://www.murc.jp/publicity/press_release/press_170509.pdf

 

長期的に見れば、あらゆる業種・職種で、人材採用の難易度は上がっていきますから、新しい働き手を得るためには、働きやすさを高めていくことがほぼ必須だと思います。

働きやすさを高めるためには、長時間労働をなくし、働き手のライフイベント等を受容できる環境を作っていくことが必要です。具体的には、業務の棚卸しと優先順位付け、チーム体制づくりなどがポイントになってきます。

 

そういった体制づくりに最適な機会のひとつが、社員の育児休業です。本書ではこのように言っています。基本的に、育児休業は事前に予定がわかるもの。その予定に応じて、育休取得者がいなくなった場合のシュミレーションと人員配置などをすすめることができます。『パパの育児休業』でも以下のように述べられています。

 

「組織を強くする」ステップとして「男性職員の育児休業推奨」は非常によいテスト期間です。なぜなら、育児は介護や病気と違って唐突に起こることはありません。「妻が今日妊娠したので、明日出産して明後日から休みます」ということはまずありませんよね(笑)。なので、準備期間が十分に取れます。

 

 

特に、男性の育児休業は2016年の実績で取得率は約3%。組織で働きながら育休を取った男性はほとんどいません。これは言い換えれば、ほとんどの組織は、男性の育児休業を経験していないということです。

 

「みんな忙しくて大変だな、いつか業務の棚卸しをしないとな」なんて会話はたぶん多くの職場で交わされていることと思いますが、それが実際に実行に移されることは稀なのではないでしょうか。育児休業が始まるまでのカウントダウンを感じながら、やるやる詐欺になっていた業務の優先順位付けやチーム体制づくりをすすめる、ということが、チームを強くし、組織を強くし、そしてそれが働きやすい職場につながり、人材も獲得しやすくなるというわけです。

 

育休を取りたいという男性からすると

「育休を取りたいんだけど、上司や経営層の頭が固くて・・・」という男性はまだまだ多いと思います。

そういった方が、育休を実現するためのやり方として、本書の内容である「男性の育児休業は企業運営にプラスの影響を及ぼす」をうまいこと上司や管理職などに刷り込む、というのもありではないでしょうか。

 

業種問わず、人材採用に困っている企業は多いと思います。先ほど挙げた新入社員アンケートのようなデータは豊富にありますから、そういったデータをまとめて提示すれば、人材獲得のためにワークライフバランス・働きやすさ向上が重要だということはわかってもらえるでしょう。
それをどう実践していくか、という議論になったときに、男性社員の育児休業推進という切り口を打ち出せば、「じゃあやってみるか」となるかもしれません。

 

もう少しプッシュするならば、いずれ介護の問題で、モーレツ会社員をしてきた男性管理職たちも働き方を見直さなければならなくなるときがきます。そのためのプロトタイプ、トライアルとして男性の育児休業を押し出すというやり方もあるでしょう。

上司や管理職、あるいは経営層が、「育児の素晴らしさ」とか「父親や家庭にとっての意義」は理解できなくても、男性の育休がまわりまわって組織の利益になる、あるいは介護という観点で彼ら自身の利益になりえるということを伝えることができれば、結果的によい環境になる、という可能性はあると思います。

 

さいごに

ワークライフバランスは福利厚生ではなく経営戦略だ」というのは、色んな人が繰り返し言っています。そして最初にご紹介したとおり、それを裏付けるデータは毎年着実に出てきており、社会がそういう方向に向かっていることは確実です。

男性の育児休業を、そういった観点から紹介しているのが本書です。サクッと読めるので、ぜひ読んでみてください。

 

 

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