「半育休」は会社独自の制度ではなくて法制度なのでみんな取れる可能性があるよ、という話
こんにちは。橋本です。
Twitterで半育休(育休を取りながら一部働く)の話をすると、たまにリプライやDMで
「半育休ってどういう制度なんですか?」
「会社で半育休を取りたいといったら「うちにそんな制度はない」と言われた」
「半育休というのは橋本さんの会社の就業規則にあるのですか?」
なんて質問をいただくことがあります。
今回はそのあたりのお話を。
半育休は法律上の育児休業制度そのもの
結論を言ってしまうと、通常の育児休業と別に「半育休」という制度があるわけではなく、また僕の勤め先ならではの制度というわけでもありません。
僕(や、僕のボス)は、広く知ってもらい、そういう選択肢があることが浸透していくことを狙って、「半育休」という言葉を積極的に使っています。なので言ってみれば造語であって、特に法制度の中に出てくるワードというわけではありません。
半育休について箇条書きでまとめると、こんな感じです。
・育児休業を取得しつつ、通常より短い時間働くこと
・通常の育休と別制度ではなく、オプション的位置づけ。もともと育休自体が、「育休中に・業務をすることも可能」という制度
・男女ともに使える制度
・月80時間までの業務がOK(育児休業給付金が給付される)
・会社からの給与も(もちろん)支払われる
要はもともと制度上可能な「育休中に一部働く」ことを、「半育休」と呼んでいるというわけです。
ちなみにこのあたりの話はこちらの記事にも書いています。
当然男性だけのためのものではなく、女性も使えます。業務内容の制約(後述)もありますが、育休からいきなりフルタイム復帰するのではなく、半育休を経て復帰ということも、不可能ではありません。
そして、会社の制度ではなく、法律で決まっていることなので、「うちはそういう制度はないよ」と人事・総務担当に断られたとしたら、「いや、そうじゃなくて、法律上できるんですよ」と言うこともじゅうぶん可能です。
そもそも育児休業自体、法律でちゃんと決まっている制度なので、会社の就業規則に記載がなくても、雇用保険に入っているなど、法律上の一定の条件を満たしていれば、みんな取得する権利があります。それとほぼ同じ、と言ってよいと思います。
ですので、
「半育休、興味あるけれど、うちの会社にそういう制度あるのかな」
なんて心配をする必要はありません。育児休業と同じで、法定条件を満たしていれば取得できる可能性があります。その前提で会社と相談するのがよいと思います。
しかし、育休中働くことにはまた別の条件も
前述のとおり半育休は育児休業という法制度の一部。なので、「育児休業を取ることができる人であればみんな取れます!」と言いたいところなのですが、残念ながらまだそうではありません。
現時点では、「誰もが」「どんな業務でも」この半育休という選択肢を使えるわけではないというのが実態。
くわしくはこちらの記事に書いているのですが、
現在、育児休業中に働いてOKとされるのは、原則として「その人が突発的・あるいは属人的な理由で業務しなければならない場合」のみとされています。
実際に半育休を取る(育休中に勤務する)ことを検討するにあたって、会社としてネックになるのはこの部分だと思います。同僚や人事・総務(育休の担当の方)と、しっかりすり合わせて半育休にするかどうか考える、というのが必要です。
ただ逆に、仕事の代替要員がいないから取得しづらい、という課題がある環境であれば、育休を取得する側から
「育児休業中でも、引き継ぎきれない仕事は月80時間(≒月に10日)までなら自分がすることもできるから、半育休というスタイルで育休を取らせてください!」
というアプローチをすることは可能。引き継ぎ先がいないからといって育休取得をあきらめず、ぜひチャレンジしてみてほしいなと思います。
ちなみに、月80時間じゃ無理、100%引き継ぎ先がいない、という回答が会社から返ってきたら、もう転職を検討したほうがいいと思います。
さいごに
育児休業取得自体もそうなのですが、「会社の就業規則にないから無理」と思われているものってけっこう多いと思うんですよね。
そういう誤解を少しでもなくしていけるように、僕もこのブログをやっているわけです。もし、今読んでくださっているあなたの周りに、育休関連で悩んでいる方がいれば、こういった情報をシェアしていただければ、きっと世の中が少しよくなるのではないかと思います。
子育ては、長期的に向き合う人生の大きなイベント。法制度をうまく使って、自分の子育てをよりよいものにしていけたら、きっと幸福度は高まるのではないでしょうか。
特に男性の育休や、育休で実はこんなことができる、といったオプション的な情報については、勤め先もそんなに細かく教えてくれないケースも多いでしょう。ネット検索やSNSなどを活用して、情報をゲットし、リテラシーを高めていくことが大事だと思います。がんばっていきましょう!!
ではでは!
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男性の育児休業は予定日から取れるけど、給付金は出生日から
こんにちは。橋本です。
以前、育休を取るにあたって、子どもが生まれる前から休みに入るといいよという話を書きました。
その中で、
パパのプレ育休は、前述の通りメリットが多いのですが、現状の制度としてはちょっとだけやりづらいところがあります。それは、子どもが生まれる前の休みは育児休業期間にならないということです。
と、書いていたのですが、実はこれは誤りでした。(記事は訂正しています)
育休は、子どもが生まれたその日からしか取れないのではなく、出産予定日から取得することができるのです。
法律はこのように書いてあります。第五条の2。
(前略)
育児休業(当該育児休業に係る子の出生の日から起算して八週間を経過する日の翌日まで(出産予定日前に当該子が出生した場合にあっては当該出生の日から当該出産予定日から起算して八週間を経過する日の翌日までとし、出産予定日後に当該子が出生した場合にあっては当該出産予定日から当該出生の日から起算して八週間を経過する日の翌日までとする。)の期間内に・・・
(後略)
正直ここだけで意味を理解するのに15分くらいかかったのですが、ちょっとわかりやすくするように【】を追加すると、
出産予定日後に当該子が出生した場合にあっては【当該出産予定日から】【当該出生の日から起算して八週間を経過する日の翌日】まで
ということなので、出産予定後に子どもが生まれた場合、出産予定日からの期間を育児休業とする、ということなんですね。
事前に予定日を確認して(みんなしますね)、その日からということで育児休業取得の届け出を出せば、子どもが予定日に生まれなくても、予定日から休業に入ることができるということです。
これはありがたいですね。誕生が遅れても、予定日付近はもういつ生まれてもおかしくないですから、休んで準備万端な状態になっていることは、パートナーからしても心強いでしょう。
ただし、育児休業給付金は出生日からしか出ない
見出しで全部言ってますが、いっぽうで育休中の主な収入である育児休業給付金はどうかというと、予定日からではなく出生日その日からでないと支給されません。
ですので例えば、
出産予定日 4/10
出生日 4/17
というように、1週間遅れたりすると、その間、育児休業に入って休むことはできるけれど、給付金の対象ではない、つまり収入がない状態となります。*1
その状態を避けるためには、
(1)半育休扱いにして、子どもが生まれるまでは部分的に働く
(2)育児休業取得開始日を後ろ倒しする
というふたつのやり方があります。
(1)はまさにこのブログのメインテーマでもある、育休中に働くというパターン。
予定日を過ぎたけれど、まだ生まれそうになく、妻の体調も安定している、ということであれば、予定日になって育休に入ったけれど少し働く、というのはありだと思います。
育児休業中であっても、働いたぶんは給与がちゃんともらえます。
ただし、予定日を過ぎているということはいつ生まれてもおかしくないということ。できる限り妻の体調優先で考えるのがいいでしょう。
(2)の育休開始日を後ろ倒しですが、こちらは制度的にはできますので、申請し直して、開始日を変更してもらえばよいでしょう。
が、これまた微妙なところなのですが、企業が必ずしも対応する義務はない、ということになっているようです。
・出産予定日より遅く出産された場合
法律上、育児休業開始予定日繰り下げ変更の規定はございませんので、
御社就業規則に別段の定めある場合を除き、
育児休業開始予定日は当初申し出た日のまま動きません。
こういったことをやってくれない会社がどれくらいあるのかはわかりませんが、法律上義務はないので会社が「できません」と言えばできない、ということになりそうです。うーん。
・・・まあ、予定日と出生日がずれるといっても、そこまで大幅にずれることは少ないでしょう。また、育児休業給付金は日割りで出るので、たとえば育休に入る予定で月をまたいだとしても、1ヶ月もらえないのではなく、予定日と出生日のずれのぶんだけ支給されない、という感じなので、そこまでクリティカルではないのではないでしょうか。
さいごに
正直、このあたりの細かいところは情報を集めるのもけっこうめんどくさいですね。
先ほども述べたとおり、育児休業給付金は日割りなので、予定日と実際の出生日がずれたからといってめちゃくちゃ金額がかわってやばい、みたいなことはありません。ご心配なさらず、で良いと思います。
それよりとにかく出産という一大イベントを控えた妻にしっかり寄り添う、という心構えと体制が大事です。うんうん。
ではでは!
参考記事
育児休業の開始日や終了日を、繰り上げたり繰り下げたりできるか
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最近、妻の家事が適当になってきたという話
こんにちは。橋本です。
とうとう4月になりました。2017年1月に生まれた息子(第二子)も、無事保育園に入園。慣らし保育が始まりました。
育児休業に入っていた妻も、4月の半ばから職場復帰の予定です。
今回はその妻について。
妻がどうしたかと言いますと、最近、家事が適当になってきたのです。
たとえば、これまでだと、平日、僕が帰宅すると、朝たたんだ布団が敷かれていて、昼ごはんで使った食器は洗われていて……となっていたのが、最近は帰宅しても、布団も食器も何もされておらず……なんて日があったりします。
上の子の保育園に持っていく荷物も、たまにちょっと抜けていたりして、タオルが入っていなかったり、スモックを荷物袋に入れ忘れたり、なんてこともありました。
こないだの土日なんかは、朝から夜まで、家のことはほとんどやらず、僕が料理、洗濯等々だいたいすべてやるという感じでした。
そんな感じが、妻の最近なのですが、僕は、そんな妻の最近について、家事が適当になってきたことについて、すごくいいなと思っているのです。
妻はもともと、家事はそつなくこなすタイプでした。料理、洗濯、掃除など、一般的な家事はだいたい普通に、ナチュラルにこなす。
僕はかなり意識して自分事として考えないと、家事をすぐ忘れてしまって、妻がいつの間にかやってくれていて……という、どうもすみません、という感じのパターンが正直なところ多かったです。
そんな感じなので、妻が家でするのは、家事育児など家のこと、家族のためのことがほとんど、というのがこれまででした。
でもそれが、下の子の育休中から変わってきました。
きっかけのひとつは、産後に受けた、マドレボニータの産後ケアクラス。毎週下の子と一緒に通って、身体を動かすことを楽しみ、気持ちが前向きになっていくのがそばで見ていてよくわかりました。
そこから産後ケアに興味がわいて、NECワーキングマザーサロンのボランティアに参加、もともと好きだった絵を描くことを活かして、イラストを交えた参加レポートを書いたりもしていました。
さらには、地域のイベントに参加、というかだいぶコミットしていました。
地域おこしのプロジェクトにボランティアとして参画、お店の紹介をイラストでしたり、地元の史跡や見どころを紹介するツアコンみたいなことをやってみたり。
妻は、この地域おこしイラストを描き始めてから、それまでは夜10時くらいにすぐ寝ちゃっていたのに、子どもの寝かしつけ後起きて、夜中まで作業するようになりました。正直、長年一緒に暮らしている身としては、かなり驚きの変化です。
(こんな絵を描いたりしてます)
先ほどほとんど家事をしていなかったと言った先週の土日も、地域おこしプロジェクトの中の、ある施設オープニングイベントの準備で忙しく、イラストを描いたりそれを印刷したり、イベントに持っていって来た人に説明したりと、一生懸命で。
これってどういうことかというと、家の中で、妻にとって、家事よりも優先順位の高いものが生まれた、ということなんですよね。これが、僕はとてもうれしいんです。
家事をちゃんとやって生活の基盤をつくることももちろん大事です。でも、誰もが家事をするために生きているわけではありません。
自分らしさを追求できることを見つけ、それに時間を使いたい、という気持ちが生まれたことって、とても大事だと思うんです。
家事は夫婦ふたり(と、場合によっては子ども)でバランスを取りながらシェアしていけばいいこと。多少家の中が荒れても死にはしないし、どうにでもカバーできる。
これまで自分のやりたいことに時間を使うということをあまりしてこなかった妻が、それを見つけてがんばりたいというなら、そのぶん自分が家事をして家庭を回すというのは大歓迎です。
▼ ▼ ▼ ▼ ▼
もう少しこの背景をお伝えします。
実は上の子が生まれる前に、我が家は妊娠初期での流産を経験しています。
当時は妻も長時間労働、仕事との向き合い方にも悩んでいる時期でした。
当時を振り返ると妻は言います。「流産をきっかけにして、自分に対して自信が持てなくなってしまった気がする」と。
それから上の子を妊娠し出産、僕の転職に伴って妻も時短勤務で職場復帰し、初めてのことだらけの中をどうにかこうにか走って。
そして、下の子の出産と育休で、ようやく落ち着いて自分のことを考えられるようになったと。
ちなみに、その背景には僕が育休をとったことも大きい、と妻は言ってくれています(よかった!)
そして育休中に取り組んださまざまな活動を通して、妻は少しずつ自信を取り戻してきたのです。
前回の結婚記念日に妻からもらったメールの一部を紹介します(妻には了承をとっています)
流産してから、自分の力でどうしようもできないことがあると落ち込み、
和音を産んでからも、初育児や専業主婦の負い目に自信を無くし、
復帰しても、時短で早く帰らないといけない、仕事についていけない、役に立てていない、そういう思いばかりで、
これからはこんな人生なのかー、大人になるって・産んで働くってこういうことなんだなーとか、
今振り返るとそういう「諦め」の思いばかり抱いた5年間でもあった。
(それが、甘えの強い私が大人になることだとも思っていた)
いや、楽しいこともたくさんあったよ!
でも総じて、私自身のことだけ振り返ると、わりとくらーい5年間だったなと思う。
そんな私は最近、自信を回復しました。おそらくですが。
別に私さいこー!とかそういうんじゃなくて
「自分の価値を自分で落とさない」ことができるようになったなと思う。
楽になったよ。たのしくなってきた。
これからのやりたいことについて最近よく考えるけれど、自信なくして諦めモードだった私が、いや私まだやれっぞって思えてきて、
そのこと自体に私は、とてもテンションが上がっている昨今です。
そんなわけで、そんな風に自分を見つめ直して、やりたいことはこれだ!と見つけて、それに(家事よりも)時間を使いたい、頑張りたい!ということであれば、夫として、人生のパートナーとしてぜひ応援したいなと。それが夫婦ってものだと、僕は思っています。
そのかたちが、家事を(ときどき)妻のぶんまでするということであれば、全然それでOKです。どんとこい。僕だってたくさん、妻に支えられてきましたから。
と、言うわけで、ちょっと釣りっぽいタイトルで恐縮ですが、最近、妻の家事が適当になってきて、むしろそれが嬉しい、という話でした。
▼ ▼ ▼ ▼ ▼
はい、それでですね。
そんな妻を応援するために、polcaのフレンドファンディング(少額のクラウドファンディングのようなもの)で支援を集めています。
仕事に復帰した後も、イラストを描くことに使う時間を捻出できるよう、iPad ProとApple Pencil(と、Smart Keyboard)を妻にプレゼントしたいなと。そしてせっかくなら、広く友人知人、あるいはこのブログや僕のSNSを見るなど、ネットで何かしらわれわれ夫婦と関わりがあった方にも、応援していただけたら、その気持ちが妻にかたちとして伝わったら、素敵だなあと思っています。
ぜひ、応援よろしくお願いいたします!
2018/04/22追記
polcaのフレンドファンディング、皆さまからのご支援により、目標達成することができました!本当に、ありがとうございました!
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育児休業を取りながら働く「半育休」の課題
こんにちは。橋本です。
育休を取りながら一部働く「半育休」、このブログでも推していて、柔軟な育児と仕事の両立のさせ方のひとつの選択肢としてとても有効だと思っています。(けっこう「ブログ参考になりました」というお声がけをいただくことも増えました)
ただし、実は、「誰もが」「どんな業務でも」この半育休という選択肢を使えるわけではないんです。今回はそのあたり、半育休という制度の、現状の課題について説明します。
前提:半育休とは?
簡単に「半育休とは」をおさらいしておくと、半育休とは、育児休業中に一部働くこと。現在の育児休業の制度上、最大で月80時間までの就労は可能となっており、その枠内で就労することです。(ちなみに「半育休」というのは特に正式な制度名とかではなく、通称です)
育児休業給付金を受け取りながら、働いた分の給与を会社から受け取ることができます。
そのため、
・育休に入るにあたってどうしても引き継げなかった部分については、育休中も継続して担当することができる
・育児休業給付金にプラスして給与も受け取れるので、育休中の収入がアップする
といったメリットがあります。実際に僕も第二子誕生時に3ヶ月半の半育休を実践し、育児をメインでしつつ、リモートで、あるいはオフィスに出勤してちょこちょこ働くという生活を送っていました。
半育休には、制約がある
働き方の選択肢が広がる半育休ですが、現状では、誰もが、どんな業務でも半育休できるというわけではありません。
というのも、育児休業中に働いてOKとされるのは、原則として「どうしてもその人が突発的・あるいは属人的な理由で業務しなければならない場合」のみなのです。国が出している資料を見るとこんな感じ。
(引用元:「育児休業中の就労」について)
具体的には、「単純に業務を減らして週2日だけ出勤して働きます、1日8時間で月10日までなら大丈夫ですよね」みたいなケースだと「育児休業じゃなくて就労してるよね」とみなされる可能性があります。
意図としては、「本人はしっかり育児休業に入りたいのに、雇用側の都合で短時間働かされる」という状況を防ぐため、と思われます。まあたしかに、大事な視点です。
しかし、いっぽうでこの制約はとてももったいない。というのも、半育休を実践しやすくなることで、以下のようなメリットがあるからです。
(1)男性の育休の取りやすさがぐっと上がる
(2)育休からの復帰の不安が減る
それぞれご説明します。
(1)男性の育休の取りやすさがぐっと上がる
女性が育休を取ることは今の日本ではだいぶ普通のことになってきましたが、男性の育休取得率はいまだ約3%(2016年実績)。全然浸透していません。
男性が育休を取れない理由はいろいろありますが、そのひとつとして「代替要員がいない」ことが、調査などで回答に上がります。
日経DUALの調査だとこんな感じ。
(引用元:男性が育休を取れない理由1位は「代替要員がいない」 | 日経DUAL)
またユーキャンの調査結果でも同じように回答の上位に「仕事を引き継げる人がいない」というのが来ています。
(引用元:男性育児休暇取得に関する意識調査結果!|【ユーキャン】)
半育休が取りやすくなり、普及すれば、「代替要員が置けない部分については育休中も引き続き担当する」という選択肢がとれます*1。
そうなると育休を取るための高いハードルがひとつ減ります。
また、経済的な負担も、半育休をカジュアルに使えるようになれば、収入がアップするので、家計の面でもいくらか不安が減るでしょう。
(2)育休からの復帰の不安が減る
もうひとつの半育休のメリットは、男性に限ったことではありません。それは、育休からの復帰がしやすくなるということです。
実際、育休からの職場復帰に不安を覚えている人は少なくありません。
アデコの調査によれば、ワーキングマザーの70%以上が、育休からの仕事復帰時に「心配・不安あり」と回答しています。
(引用元:アンケート調査レポート | アデコ株式会社)
実際、育休中は「仕事的なやり取り」はガクンと減り、家庭で家事育児に向き合う時間がほとんど。ビジネスコミュニケーション的な頭の使い方ができなくなっていて愕然とした、なんて話も聞きます。
そんな状況で、「仕事ゼロ」の状況からフルタイム(あるいは時短勤務)で日中がっつり仕事をしている環境に復帰するというのは、やはりハードルが高い。
であれば、本格復帰の前に、1日に数時間を週何日、といった、超時短勤務的な働き方ができたらいいと思いませんか? 在宅で社内のメールやイントラネットを見るだけでもいいし、「いつごろからこんなタスクを担当してもらう予定だから、関連資料を見ておいてね」みたいな感じでゆっくりとキャッチアップしていけたら、職場復帰もだいぶやりやすくなるのではないでしょうか。
まさにこういった働き方は、「一時的・臨時的」な業務のみOKという今の育休(半育休)の制度だとできないことになっています。これは、もったいないと思うのです。
さいごに
今の制度上では制約がある半育休ですが、では実際に、「この業務は一時的・臨時的なものではないから育児休業とみなせません」とNGを出された事例があったのか?というと、正直そこはわかりません。
ネットを見ていると、以下のような見解もあり、「実際にそこまで厳しくない」という可能性もあるのかも、という感じです。
まず、ハローワークですが、実務上、月80時間以下で育児休業給付金を申請すれば、申請はほぼ受理されると考えてよいでしょう。理論上は、育児休業中の臨時勤務(育児休業継続中)であるのか、職場復帰後の時短勤務(育児休業終了)であるのかは問題となるのですが、実際には、本人が申し出を行い、会社も育児休業中と認めたからこそ提出された支給申請書があるわけですので、ハローワークから「本当に育児休業中なのか?時短勤務ではないのか?」との確認が入る可能性は低いと考えます。
(引用元:育児休業期間中の就業について - 『日本の人事部』)
とはいえ、こちらのコメントには「管轄ハローワークや健保組合によっては、これと異なる見解で育児休業終了の判断をする可能性もあります。」ということも添えられており、一概にどうと言える感じではありません。
いずれにせよ、半育休を検討するにあたって、まず取得者の立場としては、ちゃんと人事・総務など育児休業関連の担当の人とすりあわせておくことは必要です。
今はまだ事例は多くありませんが、これから半育休を取る人が増えていって、「なんかこの制約、変じゃない?」となっていけば良いなあと思います。
ではでは。
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*1:もちろん本来はちゃんと体制づくりをしたほうがいいですが、100点満点の体制づくりができないと育休が取れない、というのも現実的ではないでしょうし、選択肢の幅は広いほうが良いと思います。
育休中の妻がインフルでダウン、そのとき夫は
こんにちは。橋本です。
いやー、今シーズン、インフルエンザの流行、大変でしたね。あまりこれまでインフルに縁のなかった我が家なのですが、今回の流行の波は残念ながら避けることができず、先月、2018年の2月7日から10日くらいまでの間、インフルにかかってちょっと大変でした。
それも、子どもが保育園でもらってきて・・・とかではなく、育休中の奥さんがかかってしまい。
子どもではなく大人が、特に育休中の妻がかかるというパターンはなかなか大変でした。今回、家族のログ的な意味も兼ねて、どんな感じで過ごしたかを書いておこうと思います。
家族構成と状況
・僕(週5の時短勤務)
・奥さん(育休中)
・上の子(娘、3歳)。保育園に通っている
・下の子(息子、1歳1ヶ月)まだ保育園通っておらず、日中は奥さんが世話している
乗ってしまった、このビッグウェーブに・・・な時系列
・2/6(火) 夜
奥さんが「ちょっと寒けするかも」と言う。まあ寝れば治るかなと思って就寝。
・2/7(水) 朝
奥さん、特に熱などはないもよう。普通に上の子を保育園に送り、出社する。
・2/7 12:23
奥さんから「発熱した」という旨のLINEが届く。熱は37.8℃。LINEを見て、若干テンパる。
午後に外部の方とのミーティングが予定されていたので、同席予定の上司と同僚に相談。快く「よろしくやっとくから帰ってあげて!」ということで送り出していただき、最低限の残務処理後、退社。
奥さん(育休中)発熱のため、急遽早退させてもらうことに。
— 橋本吉央@半育休からの時短勤務中 (@ysck_hashimoto) 2018年2月7日
午後一緒のミーティング予定があった上司に伝えたら
「早く帰ってあげて!ミーティングはこっちでばっちりやっとくから!」と。
会社的にもそういう風土なので、予想していたリアクションではあるものの、実際に言われるとありがたい…!
・2/7 16:00
もろもろの買い物(食材など)後、上の子のお迎えへ。すぐ帰宅しても上の子がフィーバーで奥さんが休まらない可能性も若干あるので、公園に遊びに行く。
・2/7 17:00
帰宅。奥さんは基本休んでいるのでワンオペ。買ったばかりのホットクックを活用して簡単にスープを作る。食事後、子ども2人をお風呂に入れて、就寝。
・2/8(木) 朝
奥さんの熱が引かないので、下の子を一時保育にお願いしようと思い、電話をかけてどうにか預かってもらえることに。
ふう、よかった・・・と思って下の子の熱を計ったら、37.5℃をこえていてショック。一時保育をキャンセル。在宅で最低限のタスクのみ対応する方針に変更。
昨日奥さん発熱
— 橋本吉央@半育休からの時短勤務中 (@ysck_hashimoto) 2018年2月8日
→朝になっても熱あり
→下の子一時保育に預けるべく電話で予約、どうにかOKに
→上の子を保育園に送る
→下の子を一時保育に連れてこうと思って熱を計ったら37.8℃
→家にいつつ必要最低限のタスクだけ対応する方針に変更、各所調整
→最低限の調整は完了、朝から疲れた…(今ここ)
・2/8 10:00
奥さんが病院受診。診断結果はなんとインフルA型。がびーん。
・2/8 12:00
在宅勤務終了。下の子の世話などなどして過ごす。
・2/8 16:00
上の子の保育園お迎え。例によって1時間ほど公園で遊んでから帰宅。
・2/8 18:00
翌日の予定について奥さんと相談。もともと2/9は自分が日帰り出張の予定。下の子の日中の保育をどうするか問題。一時保育に電話してみたところ、家族にインフル罹患者がいる場合預かりができないという回答。そりゃそうだ。
予防接種をしていたこともあってか、症状は落ち着いてきており、熱も下がってきているので、奥さんに下の子をお願いして出張に行く、という選択肢もあるが、やはりリスクをおさえるためにできれば避けよう、という方針に。シッター手配も、やったことがなく、奥さん在宅中にシッターさんにきてもらうというのも、かえって気が休まらないだろうということでやめる。
関係者と調整して、出張は実際に行くのではなく、リモートでミーティングに参加させてもる方式に変更させてもらう。(それができる内容で助かった)
・2/9(金) 9:30
奥さんの症状はだいぶ回復。
上の子を保育園に預けた後、近所のコワーキングスペースに移動しリモートミーティングに参加。下の子はその間奥さんにお願い。
・2/9(金)12:30
ミーティングと残務処理完了、帰宅。下の子の世話などして過ごす。午後以降はだいたい前日と同じような感じ。奥さんも症状自体はだいぶ回復してきたのでワンオペではなく1.8オペくらい。
・2/10(土) 10:00
ふう、どうにか週末だ・・・と思ったら、下の子の熱が39℃。受診したら見事にインフルA型。休まらない週末に突入。
・・・という感じの数日間でした。
大変だったこと
もちろん仕事の調整は、特にもともと出張の予定があったりしたということもあって、関係各所にミーティングの日程変更をお願いしたりなんだりせねばならず、大変でした。
勤め先も、ミーティングの相手だった外部の関係者も、快く応じてくれ、本当に助かりました。この場をお借りしてお礼申し上げます、本当にありがとうございました。
子育て支援のNPOで働いていて、同僚の同じようなケースではもちろん「大丈夫、早く帰ってね!」という感じで対応しているものの、いざ自分にそういう事態が起こると、「やべっ、どうしよ、迷惑かけてしまうな・・・」という感じでやはりテンパります。
よどみなく「家族を優先してね!」と言ってもらえることは本当にありがたいことです。
しかしなかなか難しいのは、育休中の奥さんががっつり発熱して家事育児ままならないという状況であれば、迷いなく時間配分を変えてワンオペに対応するのですが、回復してきて「よくなってきたから、まあたぶん大丈夫」くらいのステータスになってきたときに、どうするかという判断。
頭では、「まだ回復途中だから、休んでもらっていたほうが結果的によい」というのはわかっているのですが、とはいってもスタックしている仕事もあるし、ちょっとでも時間をとってタスクを進めたい・・・みたいな葛藤が。そういうことを悶々と考える、考えてしまうことが、ストレスにはなるなあと思いました。(そういうことを社内でつらつらと話して共感してもらえるということはありがたかった・・・)
さいごに
そんなわけで「育休中の妻がインフルになった数日はこんなんだった」という記録でした。まあ人間生きていればたまには病気もしますから、こんなこともありますね。よい経験になりました。
ではでは。
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「なぜ、うちの夫はゴミ出しはするのに新しいゴミ袋をセットしないのか?」という話
こんにちは。橋本です。
先日会社で、現在育休中で近々復帰予定のスタッフを集めて「復帰の不安を解消しよう」というイベントを開催しました。
今日は会社にて、近々育休から復帰する予定のスタッフを対象に「復職後の仕事と生活について考えてみよう」というミニイベント(保育つき)。
— 橋本吉央@半育休からの時短勤務中 (@ysck_hashimoto) 2018年2月17日
育休復帰経験のある先輩スタッフと座談会、ワークショップなどやっておりますー! pic.twitter.com/r3ogtU4ndU
イベントでは「復帰したあとの家事育児に、夫にどうやって協力してもらうか」みたいな話も出たのですが、その中で、あるスタッフが言いました。
「うちの夫、ゴミ出しはしてくれるんだけど、新しいゴミ袋をゴミ箱にセットしてくれないんだよね。ちゃんとそこまでやってほしいのに」
こういう、パートナーが(主に妻からみて夫が)家事をやってくれるのだけど、「そこまでやってその家事なのに、なぜやらないの?」みたいな話ってけっこうあると思います。今回はそんな話。
同じ「ゴミ出し」でも見えているものが違う
この話、わりとピンとくるところがあって、僕が
「たぶん、夫さんの中で、ゴミ出しという家事のなかに、新しいゴミ袋をセットするということが含まれていないんだと思いますよ。そのタスクに名前がついていないので、やるべきことと認識できないのかも」
と言ったら、「なるほどー!そうなのか」と、驚きつつ納得していたようでした。
こういうケース、「もともと妻が家事全般をやっていて、後から夫が分担して一部やるようになった」という家庭でけっこうあるのではないかと思います。
それなりに若い世代であれば、夫も家事を分担して行う、ということ自体には抵抗がない、あるいは「やらなきゃいけない」と思っている男性も多いでしょう。
結婚を機に、あるいは子どもが生まれたことをきっかけに、それまでは妻がほとんどやっていた家事を夫もやるようになった、というケースはあると思います。
そういった場合、わかりやすく家事を分担しようとすると、「料理」「洗い物」「掃除」「洗濯」「ゴミ出し」といった具合に、名前のつけやすい単位で担当を分けますよね。
それはそれでいいのですが、ここで、最初にあったような問題が起こる場合があります。
つまり、「ゴミ出し」を担当として責任をもっているはずの夫が、新しいゴミ袋をゴミ箱にセットしない、という事象です。
妻からすると、「ゴミ出しはやるって言ってんだから、ちゃんとやってよ」となるでしょう。
しかし、夫の認識はこうです。「え、ゴミはちゃんと出してるじゃん」
たぶん、こんな会話が繰り広げられるのではないでしょうか。
妻「ゴミ出しはやるって言ったんだから、ちゃんとやってよ」
夫「え、ちゃんとやってるじゃん」
妻「新しいゴミ袋、ゴミ箱にセットしてないでしょ」
夫「え?新しいゴミ袋?なにそれ?」
妻「はあ?」
この状況での夫の頭の中を解説すると、「新しいゴミ袋をセットする」というタスクが、「ゴミ出し」という一連の家事行為の中に含まれていない。「ゴミ出し=ゴミ袋をゴミ箱から取り出して捨てに行くこと」みたいな認識なわけです。
悪気があるわけでも、サボっているわけでもないのです。やるべきこととして認識していない、というか認識したことがない。
なぜこういうことが起こるかといえば、まだまだ、家事を「自分事」としてしてきた経験が少ない男性が多いから、ではないでしょうか。
実家暮らしても、一人暮らしでも、総じて男性より女性のほうが家事のルーチンをしっかり回し、家事の全体を把握している人が多いと思います。
学生時代なんかは僕もそうでしたが、ゴミ箱に袋はセットしてたけど、ゴミ出しごとにこまめに補充はせず、なんならゴミ箱もそんなに運用されず、毎日なんとなくゲットするコンビニの袋に適当に入れて・・・みたいな人も、特に男性にはいるのではないでしょうか。
そういう生活をしていると、ゴミ出しと一緒にゴミ箱に新しいゴミ袋をセットする、みたいなルーチンが身につかず、前述のような「ゴミ出し=ゴミ袋をゴミ箱から出して捨てに行くこと」みたいになるのではないかと思います。
見える化して、認識を合わせる
さて、本当に大事なのは、なぜそんな問題があるかより、どうすればそれが解決できるか。
今回のケースで言えば、「新しいゴミ袋をセットする」というゴミ出しの中のひとつの流れが、夫にとって見える化していないわけで、逆に言えば、それをひとつのタスクとして名前をつけ、目に見えるものにすればよいと思います。
「いま、ゴミ出しを担当してもらっているけれど、ゴミ袋を出して捨てに行くだけじゃなく、空いたゴミ箱に新しいゴミ袋をセットするということも、一緒にやるようにしてほしい。そこまで含めてゴミ出しとみなしてほしい」
と、率直に言ってみるのがよいのではないでしょうか。
そして、そのやりかたを実際にやってみて教える。替えのゴミ袋はゴミ箱の底に入れておくと手間が省けるとか、そういった細かいところまでていねいに伝えるのが大事だと思います。
「なんでやらないの?知らないの?」ではなく「自分はこうやって欲しいんだ」という伝え方がいいでしょう。
そして、この問題は当然ながらゴミ出しだけにとどまりません。掃除、洗濯、風呂洗いなど、分担しやすいメジャーな家事タスクのその中にも、細かい見える化ポイントがありますよね。さらにはそもそも「保育園に持っていくおむつに名前を書く」みたいな行為は、そういうことをしなければいけないということ自体、夫は知らないかもしれません。
そういったモヤモヤがあるのであれば、一度、細かいレベルで、家事でやっていることをばーっと書き出して箇条書きにして、共有するのがいいでしょう。
実際に我が家も、奥さんが2人めの育休に入るタイミングで、似たようなことをしました。
とても細かいレベルで、家事のやることのうち夫と妻のどちらが何をやるか割り当てられる「Yieto」というスマホアプリもあったりするので、そういったツールを使ってもいいかもしれません。
「Yieto:家事分担のモヤモヤを解消する」をApp Storeで
さいごに
こういった問題でストレスを感じている方(大抵の場合、妻側と思いますが)に知ってほしいのは、「相手にも悪気はない」ということです。
家事を分担することの必要性を知っている。そうしようという意志もある。でも、そもそも分担して対応すべきものの認識がズレている、という状態なわけで、その認識を揃えることが、まず前提として必要だと思います。
そんなわけで、ぜひ、夫に対して「家事育児、分担してくれてるけど、いまいちちゃんとやってくれない」という不満を持っている方は、「見える化と認識合わせ」をおすすめいたします。
ではでは!
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「パラキャリ」でfreee CTOの横路さんと対談させていただきました
こんにちは。橋本です。
freeeさんのオウンドメディア「パラキャリ」で、freee CTOの横路隆さんと、男性の育休をテーマに対談させていただきました!
横路さんも、freee創業者・経営陣のひとりでありながら、2017年11月にお子さんが生まれた際、1ヶ月の育休を取得されています。
対談では、お互い実際に育休を取ってみてどうだったか、組織のどんな部分が育休の取りやすさにつながるのか、そして、これから育休の取りやすさやワークライフバランスは人材獲得の重要なポイントになっていきますよね、みたいなことを話しています。
ぜひぜひ、お読みくださいませ!!
しかし、メルカリ社長の小泉さん、freeeの横路さんはじめ、特にITベンチャーでは、ワークにがむしゃらに没頭するのではなく、ライフも大事にすることによって結果として社員のコミットメントを高められるよね、という雰囲気が着実にできあがってきつつある気がします。
とても良いことです。
実際、若い世代ほど、「男だって家事育児してライフを大切にするのは当然だよね」となってきていると思いますし、ライフを大切にすることは人を採用するために欠かせない要素。これからもそういう風潮は強まっていくでしょうね。